▼ ▲ ▼
中学からずっと国見くんを好きでいたわけではない。けれど最近あった同窓会で、その熱が蘇ってしまった。私は同窓会で同じく連絡先を手に入れた相手である影山くんに相談した。影山くんは同窓会の中心になっていたが、中学当時から話す仲だった私には今も変わらず仲良くしてくれている。
「国見くんってデートどう誘えばいいと思う……?」
電話は彼女でもないのに重いだろう。今まで知っていたメールアドレスではなく、新たに入手したLINEでそう送ると、影山くんからの返事はすぐに来た。
「好きなテレビがない時ならいいんじゃないのか」
思っていたような回答ではなかった。今時配信やその他の娯楽ではなくテレビを重視する若者がそんなに多いとは思えないし、国見くんの好きなテレビも知らない。けれど中学時代チームメイトだった影山くんは私より国見くんのことを知っているはずだ。
影山くんに礼を言って、私は国見くんとのトークルームを開く。恋愛に疎そうな影山くんのアドバイスが効くかわからない。けれど私は、それに縋るしかない。
「好きなテレビって何!?」
返事を待つと、ややあって受信音が鳴る。
「何急に」
「テレビとかあんまり見ないけど」
私は自分から頼ったくせに影山くんを責めたくなる。やはりもうちょっと恋愛慣れしている人に相談すればよかった。この場をどう取り直そうか。そう考えていた時、続けてメッセージが表示される。
「もしかして影山に聞いた?」
国見くんが好きでないテレビを、影山くんは好きだと言っていた。それは影山くんの前でだけついていた嘘だったのかもしれない。私は正直に「そうです」と送った。嗅ぎまわっていることを知られたみたいで恥ずかしい。
「俺のことが知りたいなら俺に聞いて」
そのメッセージが送られてきた数秒後、着信画面が表示される。国見くんが、私に自分のことを教えようとしているのかもしれない。私は慌てて通話ボタンを押した。夜の室内に私が息を吸う音が響いた。
/kougk/novel/6/?index=1