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 ブルーロック内で背中に書いた字を当てる遊びが流行っていた。普通ならば小学生で卒業するような遊びが流行するのは、ブルーロック内の娯楽の少なさゆえかもしれない。彼らはスマホも、ゲームも持てないのだ。ちょうど背中を向けて書き合いっこをしていた彼らの隣を通ると、蜂楽が「名前さんも」と誘って来る。スタッフと選手の距離の近さもブルーロックの特徴かもしれない。

 折角誘われたのだから行こうとした時、私は腕を引かれた。

「お前の相手は俺だ」

 見ると、そこには不適に笑んだカイザーがいる。遊びに参加していたわけではないが、何をしているのかは見ていて理解していたのだろう。しかし、イヤホンがなければ会話できないカイザーが、日本語の書き文字を理解しているのだろうか。

「カイザー背中に書かれた文字なんてわかるの?」
「わからん」
「じゃあ何で参加したの」
「お前の下着のラインをわからせられる他の男共が可哀想でな」

 カイザーは平然と答える。女性の背中をなぞったら、女性特有の下着のラインがわかってしまうだろう。カイザーはそれを気にしていたのだ。他の男に触られたくないとかではなく、未成年なのに可哀想だという理由で。

 カイザーは私に背を向けさせ、早速背中に文字を書き始めた。日本語ではないだろう。ドイツ語を書かれたらお手上げだ。英語なら少しはわかるかもしれない。

「何書いているかわからないよ」

 私は言ったけれど、照れ隠しだ。カイザーは日本人がイヤホンに頼らないと英語をわからないと思っている。けれど、大抵の日本人はこれくらい簡単な日本語ならわかるのだ。

「もっと勉強するんだな」

 i love u。私が書かれた文字を全部理解したと言ったら、カイザーの鼻を明かせるだろうか。