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 コンビニでアイスを二個買った。普段買っている定番のアイスと、期間限定の新商品。どちらを選ぶこともできず、私は誘惑に負けた。だが一歩コンビニから外へ出たところで思い出した。外は灼熱であり、到底アイス一個を食べている間にもう一つのアイスが溶けずに待っているとは思えない。どうしたものかと空調の効いたコンビニから出られずにいた時、背後に大きな影が現れた。

「不本意」
「アイス無駄にしなくてよかったじゃん?」

 コンビニの出入り口で「早く出ろよ」と言ってきたのは五条だった。五条は私の手にしたアイスを見て状況を察したようで、あろうことか慈善事業のようにアイスを片方食べることを提案してきたのだ。それはカツアゲに近かっただろう。しかし溶かして無駄にしてしまうこともしたくない私は、仕方なしに期間限定の方を差し出したのだった。今、私が買ったアイスは五条の口の中にある。

「そっちも食べたかったのに」

 私が恨めし気に五条を見やると、五条は何か考え込むように口を閉じた。それから、もう何も残っていないアイスの棒だけを私の口に突っ込んだ。

「ゴミ処理?」

 せめて味だけでもということなら大間違いだ。アイスの棒は、木の味しかしない。大方五条はゴミを捨てるのが面倒になって私の口に放り込んだのだろう。五条は呆れたように眉を下げた。

「オマエ、そこは間接キスだろ普通」
「そんなん意識してるの五条だけだから」

 私は同級生との間接キスより、食べたかったアイスが五条に食べられてしまった方が大事なのだ。私がアイスを食べていると、五条は不服そうにポケットへ手を突っ込んだ。