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「デートするならどんな男がいい?」

 南雲さんにそう言われた時、私は思わず困惑した。南雲さんは、私のことを好きであると思っていたからだ。それは決して私の勘違いではなく、南雲さんが何度も私を口説いてきたことに由来する。

「金髪? がっちり系? 色黒?」

 だが、何度口説いても折れない私に遂に諦めたのか、南雲さんは私に彼氏を作らせようとしているのかもしれない。南雲さんが私にどれだけ本気だったかはわからないけれど、私がふらふら一人でいるより彼氏とよろしくやっている方が南雲さんの精神衛生上よいのだろう。彼氏が欲しいわけではないが、南雲さんに諦められるならばそれでいい。私は自分の好みを述べた。

「お待たせ〜」

 デート当日、やってきたのは私が述べた通りの外見の男だった。しかし、南雲さんがそういう男をアテンドしたわけではなく、南雲さんが私の言った外見通りに変装していることは明らかだった。

「来たの南雲さんじゃないですか!」

 私が突っ込むと、南雲さんはもう変装するのを諦めたように笑った。あのふにゃりとした笑みを浮かべられると別の姿でも南雲さんだと実感する。

「だって僕の姿のままデートしたら敵が襲ってきてデートどころじゃないでしょ? 変装を選ばせてあげたんだよ」

 南雲さんは私を諦める気などなかったらしい。素の姿だとデートに集中できないから、変装する姿を私好みにしただけ。がっくりと項垂れる私の横で、南雲さんが自分の顔を指さした。

「それにしても、黒髪の高身長ってほぼ僕じゃない?」
「たまたまです」

 私の好みが南雲さんに当てはまっているからと言って、南雲さんを好きになるわけではない。私がそう思うのは、虚勢なのだろうか。