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※夢主は古森の彼女
珍しく彼氏の部活がオフの放課後、デートに行くと彼氏を凌ぐ大きな影が立っていた。それはまるで、何を言われても動じない巨木のように。
「お前らのデートを見学させてほしい」
「あんまり気にしないでいいからさ」と言って彼氏――元也は笑った。彼、佐久早くんは元也の幼馴染兼チームメイトだ。仲が良いのは知っていたが、デートにまでついてくるほどだろうか。私が不審な目を向けていると、元也が「デートを勉強したいんだって」と耳打ちした。
「佐久早くん、彼女でもできたの?」
「いや、まだ付き合ってない」
佐久早くんは堂々と言う。付き合ってもいない、恐らくただ好いているだけの状態で随分行動が早い。それだけ付き合える自信があるのか、慎重と言えばいいのか。
「さ、行こうぜ」
どこか腑に落ちないでいるままの私の手を元也が握った。そのまま歩き出そうとした時、佐久早くんが私達を呼び止める。
「待て。今どうして手を繋いだ」
その質問の仕方はまるで面接官か何かのようだ。元也は困惑した様子でありながら、繋いだ手を宙に掲げる。
「いやなんとなーく……」
「このタイミングで手を繋がれて苗字はどう思った」
「え!?」
「聞かせろ」
突然私に矛先が向いてどきりとする。佐久早くんは女の子側がどう思うか知りたいのだろう。そこに照れさせてやろうとかそういう意図は感じられない。けれど元也は笑いながらこちらを見ているし、私が恥ずかしいことに変わりない。
「触れ合えて嬉しいなって……」
「へー」
嬉しそうな元也の横で、佐久早くんは持参のメモ帳に走り書きをしていた。もしかして、今日は何かするたびこれが続くのだろうか。元也とのデートで帰りたいと思ったのは初めてかもしれない。これもすべて、佐久早くんのせいである。
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