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聖臣が部屋に入ってくる時刻を見計らって、私はベッドに寝転んだ。着ているものは聖臣のワイシャツ一つだ。所謂彼シャツというやつである。普段は素っ気ない聖臣だけど、きちんと性欲があることは確認済みだ。ベッドに寝転んだ彼女のワイシャツ姿を見て、果たして聖臣はどんな反応を示してくれるだろうか。ドアが開く音に心が躍る。聖臣は私を見て、目を見開いた。
「そのワイシャツはついさっき俺がアイロンをかけたやつだ」
返ってきたのは、想像していた反応ではなかった。聖臣は自分でアイロンをしている。ついでに私のオシャレ着もアイロンをかけてくれたりする。その一苦労をかけたワイシャツを、私が皺くちゃにしてしまったということなのだろう。急にベッドで寝転んでいる自分が情けなくなってきた。
「ごめん……そっか、聖臣の体温だと思ってたのアイロンの熱だったんだ」
そう言えば、聖臣は眉をしかめて「今すぐ脱げ」と言った。
「それは私の誘いに乗るという意味で……」
「アイロンし直すからだ」
私が全裸になることに特に感傷はないらしい。裸の彼女を放ってアイロンをする男、なかなかシュールである。
「お前はその後に抱く」
唇を尖らせていた私は、すぐさま顔を上げた。聖臣は葛藤を我慢するような表情で私を見ている。私が彼シャツをしていたことに何も思っていないわけではないようだ。
「誘いたいなら口で言え」
聖臣はそう言い残してワイシャツを回収してしまった。口で言えと言っても、聖臣だってお誘いは言葉少なだ。「いい?」とかそんなもので、真正面からお誘いをされたことはない。勝手にシャツを着たのは悪かったけれど、聖臣が口で言えと言う資格もないと思う。私はやっぱり不満だけれど、聖臣に抱かれればすぐに忘れてしまうのだろう。
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