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「これから結婚っつう時にいい度胸だな」
リビングでスマホをいじっていると、そのスマホを凛に取り上げられた。振り返れば、血走った目をした凛がこちらを睨んでいる。凛が感情的なのはいつものことだが、私のことになると度が増す。特に、浮気関連においては。見ていたレンタル彼氏のホームページをどう言い訳したものかと、私は頭を巡らせた。
「これは浮気じゃなくて……」
「浮気以外の何なんだ」
まあ、レンタル「彼氏」ならばそう見えるだろう。しかし私には凛という彼氏兼婚約者がいるし、このホームページを見ているのだって凛のためなのだ。
「結婚式に呼ぶ凛の友達が少なすぎるから、レンタル友達探してたの」
凛は友達が少ない。誇張表現ではなく、まともに付き合いがあるのは数人だけだ。昔からサッカー一直線、そのチームメイトでさえも慣れ合おうとしなかった。私が平均的な数の友達を式に呼ぶのに対し、新郎側の参列者は極端に少ない。凛のために、サクラの友達を用意しておこうと思ったのだ。どうせ凛は友達の顔など覚えていない。
「そんなん別にいらねぇだろ」
凛はブラウザのタブを閉じた。折角私達と同年代のレンタル男性を探していたのに、全てが水の泡だ。
「新郎側の席スカスカでもいいの?」
「お前が隣にいりゃいい」
どうやら、凛は見栄を張るタイプではないようだ。冷やかされるのも嫌いだろうし、新郎側の参列者は少ないくらいでちょうどいいのかもしれない。今はご機嫌斜めの凛をどうあやすか考えるべきだろう。隣に座った凛を見て、そう思った。
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