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 私には悩みがある。私が何回彼氏を作ろうとも、幼馴染の南雲が別れさせてしまうのだ。何も悪知恵を働かせて別れるように仕向けるのではない。お得意の変装をして私になりすまし、できたばかりの彼氏に向かって言うのだ。別れようと。

 毎回どんな言い方をしているのかは知らないが、私の彼氏は必ずそれを受け入れる。気付いたら私は彼氏持ちから彼氏なしになっており、新しく彼氏を作るとまた同じことが起こる。

「いつもいつも余計なお世話なの!」

 私は南雲の部屋に突撃して言った。幼馴染とはいえ、一応異性にノックもなしに部屋を開けられているのにまるで慌てる様子がない。私が来ることをわかっていたみたいだ。

「この間付き合ってた彼は麻薬依存症、その前は浮気性だった。僕は危険要素を回避させてあげてるだけだよ」

 南雲は手元のサイコロを弄りながら言う。南雲の言い分では、彼は私を守っているだけらしい。

「じゃあまともな人とだったら付き合ってもいいの……?」

 私の見る目が悪かっただけで、普通の人ならば付き合うことを許してくれるのか。どうして南雲に許可を得なければいけないのかわからないが、私にも彼氏のいる未来があるかもしれない。南雲は笑顔で頷いた。

「うん、だから僕と付き合おう」
「一番南雲が危険だわ!」

 浮気性、麻薬依存症などより、変装できてしまう殺し屋の方が危険に決まっている。思わず私が突っ込むと、南雲は朗らかに笑った。

「あはは、もう自分がそういう危ない人からしか好かれないって諦めた方がいいよ〜」

 思い返してみれば、別れてから危ない人だったとわかることが多かった気がする。南雲の言う通り、南雲が一番ましなのだろうか。というか、「そういう人からしか好かれない」と言うなら南雲は私を好きなのか。聞かれてもはぐらかされてしまう気がして、私は南雲を睨むにとどめた。