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 その日、カイザーはバスローブにブルーライトカット眼鏡の格好でパソコンのメールチェックをしていた。その手が止まったのは始めて数分のことだ。

「名前の写りが悪いな」

 自分の名前が呼ばれたことに画面を見てみれば、そこには出版社からの報道予告メールがある。カイザーの熱愛報道をこの日付で出しますよ、というものだ。

「撮られたことは問題じゃないの?」

 カイザーは慌てるでもなく冷静だ。スキャンダルの一つくらい、セレブリティとしてあって当然だと思っているのかもしれない。

「寄って来る女共がいなくなるからかえっていい。だが名前はもっと綺麗だ」

 カイザーは返信のメールを打ち、話は証拠写真をもう一度撮り直してもらうことでまとまった。スキャンダルの証拠写真を撮り直すなんて、そんなことがあるものだろうか。それにわざわざ撮り直すほどのことだろうかと思わずにはいられない。けれど、折角カイザーがやり直すと決めたのならそれに従って見栄えをよくするしかないのだろう。

 私は一軍の服とメイクで撮影場所に向かった。既に週刊誌の人はスタンバイしており、気分は女優だ。カイザーは私の格好を見て褒めてくれるかと思いきや、眉をしかめた。

「おい、何で俺とのデートよりめかしこんでる」

 カイザーが撮り直すと言ったからオシャレをしたのに、結局は嫉妬されてしまうのか。どうしたものかと考えていると撮影が始まる合図がしたので私はカイザーの腕を抱いた。カメラのフラッシュが光る瞬間、カイザーは私の顔を覗き込んで口づけた。こんなの聞いていないと思いながらも抗うことはできず、数週間後私達のキス写真は世界中に報道された。