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気まぐれに会い、体を重ねる。その相手として南雲は最良だった。彼に何か悪い所があったわけではない。ただ私がいつまでもこんなことをしていていいのかという思いに駆られて、私はこの関係をやめようとした。
「もう会うのやめにしない?」
「別れるってこと?」
同じベッドの中、すぐ隣で発された言葉に私は瞬きをする。うつ伏せになって片腕に頭を載せている南雲は性的で、私を一年間惹きつけていた色香があった。私達は、この一年間セフレではなかったのか。
「私達付き合ってたっけ」
私が言うと、南雲は体を起こして私を見下ろした。
「さあね。でも別れるならいいよ。ただ会わなくなるだけなら受け入れない」
「それ結局同じじゃん」
「一時的にでも君と付き合ってたって事実があったほうがいいから」
ただ体を重ねていた事実も、これから疎遠になることも変わらないのに南雲は名称にこだわるようだ。南雲がそんな小さなことにこだわる男だとは知らなかった。
「何それ」
過去にこだわろうとする南雲は、まるでいつかすべてのことを忘れてしまうみたいだ。いつか私の前から完全に姿を消していなくなってしまうのかな、なんて会うのをやめようとしている身で考えた。それくらいの儚さが、今の南雲にあった。
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