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「お前が好きだ」

 そう言いだした佐久早に私は面食らった。何も突然の告白というだけではない。今日は幼馴染である古森がプロチームに合格したお祝いの日であり、既に祝う準備ができている。周りには部活のメンバーを含む大勢の人がおり、もしこの告白が失敗したら到底祝うムードではなくなってしまうだろう。

「今古森のお祝いなんだよ? 雰囲気を壊したらとか思わないの」
「好きだと思ったから告白した」

 佐久早は悠然としている。それだけの度胸があるなら暇な時に呼び出して告白をするくらい簡単だったと思うのだけど、私が今日した何かにそれほど強く惹かれたのだろうか。

「私が振ったらどうするの」
「振るのか?」

 佐久早に見つめられ、私は言葉を濁す。

「いや、好きだけど……」
「ならいい。これからは俺の彼女を名乗れ」

 ここでそれまで黙って事の次第を見つめていた部活のメンバーが一斉に声を上げた。

「よくわかんないけどおめでとう!」

 すっかりお祝いムードである。私が佐久早を好きだったからよかったけど、これで好きじゃなかったらどうするつもりだ。慎重な佐久早のことだから、ある程度成功する見込みがあって言ったのかもしれない。

「もうパーティーの主役佐久早になってるじゃん!」

 今日の主役であるはずの古森はそう言って笑っている。お祝いの場を横取りした佐久早はそしらぬ顔で座っていた。