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 スポーツ選手などになってしまえば、なりたくなくても注目の的になってしまう。高校の同窓会に訪れたことを、俺は早くも後悔していた。先程から話の中心は俺で、高校時代俺と話したこともないような奴が絡んでくる。なんとかして俺から注目がそれてくれと祈っていたのが通じたのか、当時クラスの中心だった男子がおどけだして俺は解放された。その俺の元へ、一人の女子生徒が近付く。

「佐久早、私佐久早のXフォローしてるよ!」

 高校時代、俺が密かに想いを寄せていた人だった。話しかけられたことにも、SNSをフォローされていることにも悪い気はしない。宮に言われて仕方なく始めたSNSだが、いいこともあるというものだ。

「そうか」

 俺はご機嫌なのを隠すように酒を飲んだ。俺の横で、彼女はスマホの画面を見せる。

「ほら、これ」

 どうやら彼女が俺のアカウントをフォローしている証拠を見せてくれるらしい。随分と積極的だなと思っていた俺は、次の瞬間真顔に戻る。

「これはなりすましだ」

 俺の喜びを返してほしい。と言うと浮かれていたようだけど、断じてそんなことはない。彼女が偽物に騙されるような馬鹿だということを嘆いているだけだ。しかもかなりリプライやDMのやりとりをしているではないか。

「こんなんに騙されるな。俺はこんなこと言わない」

 DMでは、下心が丸見えの媚びたメッセージが表示されていた。俺はSNSでナンパなどしない。どうしてこれを俺の本物だと思ったのだろう。

「え、言わないの……?」

「メイク変えた? すげぇ似合う〜!」これを俺だと思われているなら心外である。しかし次に送信されているメッセージは、言うかもしれない。

「可愛いは、言うかもな」

「可愛い」その三文字が、俺となりすましの共通点だ。もっとも、俺はSNSで誰にでも言うのではなく彼女にしか言わないが。彼女の頭を小突いてやろうかと思ったが、他の連中の視線もあるのでやめた。二人きりになりたい、だなんて彼女に今でも惚れているようなことを、俺は考えている。