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「猫可愛い〜!」
クラスメイトの苗字と俺は一緒に下校していた。今日は部活がなかったのだ。何故苗字と一緒に帰っているかの説明は省く。言葉にするとなると、きっと俺の気持ちを認めないといけないから。
苗字は帰路にいた野良猫に夢中になった。触るだけではなく、抱っこまでしている。どれほど菌を持っているかもわからないのに、よくやるものだ。そんなことをしていたら制服まで汚れてしまうだろう。
「毛まみれになっちゃった。佐久早コロコロしてくれない?」
案の定、猫を放した後苗字の制服は毛まみれになっていた。
「自分でやれ」
俺はコロコロを持ち歩いているが、苗字の体に直にコロコロをかけるような勇気はない。苗字は猫を抱っこしていたのだから、毛がついているのは胸のあたりだ。コロコロを表面に撫でつけて胸の凹凸を確かめるような真似を、少なくとも俺はできない。俺は苗字にコロコロを差し出した。
「猫に舐められた手でコロコロ触っていいの?」
苗字はコロコロを受け取らない。コロコロが俺の大事なものだとわかっているのだ。確かにコロコロの持ち手が汚れてしまうのは嫌ではある。しかし、苗字の体をコロコロで撫でくりまわすわけにもいかない。
葛藤の末、俺は仕方なく苗字の体にコロコロをかけた。苗字は撫でられる猫のように気持ちよさそうにしている。こっちの気も知らないで。
比較的やりやすい腕から始まり、肩、腹とやる。ついに一番毛がついている部位、胸に行かねばならない。俺は覚悟を決めて苗字の胸をコロコロで撫でた。大丈夫か。見ようによっては公開で痴漢しているようになっていないか。コロコロが大人のおもちゃだと思われたらどうしよう。俺の頭はそんなことばかりを考え、肝心の胸の感覚は味わっていなかった。ふと苗字の視線を感じる。まるで俺を試すような、からかうような。
「猫が舐めた手で触られるよりましだから仕方なくコロコロかけてるだけだ」
苗字の胸にコロコロをかけられて嬉しいくせに、俺は渋々やっているという体をとった。
「そういうこと言うとおっぱい触らせてあげないからね?」
「触らせるな!」
俺に触らせる予定があったのか。それならまだいいが、俺のみならず簡単に触らせるような奴なのか。とりあえず、胸を触らせるのは付き合ってからにしてほしい。今コロコロで間接的に触るような真似をしてしまったが、それはまあセーフというやつだ。俺はコロコロを大事にしまった。
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