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「ちょっと!」
五条が呪詛師に攻撃をした際、私は思わず振り返った。呪詛師は劣勢で、五条は負けることがないだろうと思っていた。もう勝負は決まったものと呪詛師に背を向けていたのだが、そんな私の背面を血でびちゃびちゃにするほど五条は血を激しく吹き出させて攻撃したのだ。普段五条はそこまでスプラッターな手法を用いる方ではなかった。いくら五条を信用していても戦いの最中に気を抜くな、そう言われた気持ちになる。
「んなとこにいたオマエが悪いんだろ。着替えて戻れば」
五条は怠そうに頭の裏で腕を組んで歩いていた。
「本当に何なの!?」
「まあ、落ち着いて。それとトイレに行くといいよ」
そばで一部始終を見ていた夏油に声をかけられる。トイレに行った方がいいも何も、この田舎で着替えられる場所はトイレくらいだろう。
補助監督に服を買ってきてもらい、私はトイレで着替えた。ついでに用を足そうとした時、下着に染みがあることに気付いた。その赤は、どう考えても制服まで染みていそうだ。私はこの時になって初めて五条が血をかけた意味に気付いた。私のお尻についた経血の染みを血で上塗りするためだったのだ。それにしても、あれだけ派手にする必要はないと思うけれど。
着替えを終え、手持ちの生理用品をあてがってトイレを出る。二人は大人しく待っていた。
「五条……ありがと。それと夏油も」
てっきり五条は面倒くさそうに「おう」とか言うものと思っていた。しかし、五条はサングラス越しに鋭い視線を夏油へ向ける。
「は? 傑も見たわけ」
「仕方なくね」
「記憶から消せ」
何故私の経血を見たことを五条が怒るのだろう。そう思いながら、「五条もだから」と言う。
「俺はいいだろ!」
普段なら何故そうなのかと問うところだけど、今日ばかりは借りがあるので何も言わないでおいた。五条はまったく不器用な奴だ。
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