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 私と南雲さんは二人で敵の本拠地に忍び込んだ。すべては計画通り行っていたはずなのに、敵の一人が敷地内に戻ってきた。私と南雲さんは咄嗟にロッカーに身を隠し、息を潜めている。今は敵が同じ部屋にいないから普通に会話できるけれど、建物から出て行かない限りはこのロッカーから脱出できない。

「なかなか出られないねー」

 私をロッカーに連れ込んだ張本人である南雲さんが言った。判断が速いのは流石だけれど、同じロッカーに隠れる意味はあったのだろうか。大男の南雲さんとでは、平均身長の私でも一緒に入れば狭い。

「緊張してる?」

 私の頭に息がかかりそうな距離で南雲さんが言った。南雲さんは自分と至近距離にいることで私が意識していると思っているのだろう。それも大いにあるが、私を悩ませているのは私の腹に押し付けられる南雲さんの下半身の存在だった。

「あの……当たってて」

 勇気を出して言えば「何が?」と返されてしまう。わかっててやっているのだろうか。

「硬いものが」

 直接的な名前を避け、それを示すようなことを言う。南雲さんは照れるでもなく開き直った。

「だって仕方ないでしょ〜、この状況だもん」

 南雲さんは簡単に勃起を認めた。南雲さんでも勃起などするのだ、と私は妙な感慨に包まれていた。しかも、私相手に。

「抜いてくれない?」

 南雲さんが言った言葉に、私は顔を上げる。

「ここでですか?」
「見えないから、だよ」

 相手の本拠地で抜いてもらうなど、南雲さんにはおかしな性癖があったものだ。しかし私もこの状況におかしくなっていた。南雲さんと二人きりで至近距離。敵の本拠地という背徳感。

 南雲さんの硬い部分に手を伸ばし、握る。それは人の体とは思えないほど硬い何かだった。私の手によく馴染んだ形をしている。

「銃……?」

 その物体の正体に気付いて呟くと、南雲さんはネタばらしとばかりに笑った。

「やっぱり遠隔攻撃の手段も持っておかないとね」

 段々と羞恥がこみ上げる。私はずっと、南雲さんが持っている銃を男根だと思っていたのだ。「この状況なら仕方ない」その言葉は、敵の本拠地に行くなら銃の一つくらい仕込んでいくともとれる。一人で赤くなったり青くなったりしている私に、南雲さんが銃を押し付けた。

「名前ちゃんが僕のもの抜いてくれるって知れてよかったよ。さ、反撃だ」

 私は仕事モードに切り替える。私が南雲さんのものを抜いてくれると知れてよかった、その意味は後から考える。私は南雲さんの男根なら手でしてあげていいと、思っていたのかもしれない。