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 それは、侑の所属するチームが東京に遠征した時のことである。

「ツムツムお土産? これ買ってけよ!」

 土産物屋を物色する侑に、木兎が横から割り込む。侑は木兎が手にしているものを見てすぐさま却下した。

「成人女性やぞ! ご当地キャラクターストラップで喜ぶかいな!」
「買った買った」
「聞けや!」

 侑の制止も聞かず、木兎はキャラクターストラップを購入してしまう。仕方ない。侑は彼女用に地域の名物菓子を買った後、ストラップも一応袋に入れておいた。

「ほら、今回の東京土産」
「これ……」

 大阪へ戻り、彼女に土産を渡すという名目で会っている時のことだ。侑はすっかり木兎の選んだストラップのことを忘れていた。キャラクターストラップで喜ぶのは学生までだろう。

「これは……!」


 言い訳をしようとする侑に対し、彼女はキャラクターストラップを掲げてみせる。

「嬉しい」
「は?」
「侑、いつも食べ物ばっかで後に残るものくれんかったやろ? いつか終わる関係だからかなって思っとった」

 そういえば、侑が彼女にあげるお土産は食べ物ばかりだった。それは侑が後に残るものを渡したくないからではなく、食べ物に目がない兄弟のおかげで人を喜ばすには食べ物だと刷り込まれていたからなのだが。

「んなことないわ!」

 彼女はキャラクターストラップを大事そうに握りしめる。彼女を喜ばせられたのは嬉しいが、木兎が選んだものだと思うと少し悔しい。

「やっと物くれたな、嬉しい」
「まあ俺はお前と一生付き合ってくって意思表明やな!」

 少し前までは成人女性にキャラクターストラップなどないと言っていたことを棚に上げ、侑は調子よく言い換えた。ストラップを捨ててしまわなくてよかった、と思いながら。今度は思い出になる品をたくさんあげよう。そう思った侑なのだった。