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「髪の毛が落ちてる」
私の部屋を訪れて少しが経った頃、佐久早は目敏く髪の毛を見つけた。まるで義母のようだと思うが、佐久早も私がズボラなことは知っている。私の髪の毛が落ちているくらいでは責めないだろう。つまり、私以外の髪の毛が落ちている――私が浮気相手を部屋に入れたように思われているのだ。
「何で!?」
当然ながら浮気はしていない。私以外の髪の毛など落ちるはずがないのだ。
「何でって掃除しないからだろ」
佐久早は私を蔑むような目で見た。浮気するなら隠せ、と言いたいのかもしれない。でも私は浮気などしていないのだ。
「いや、落ちるはずないんだけど……私は佐久早一筋だし」
「俺が好きだったら髪の毛が落ちないとかあるのか」
どこか食い違いを感じて佐久早を見ると、佐久早は髪の毛を持ち上げて見せた。そこにあったのは、私の長い髪の毛だった。浮気相手の男の髪の毛ではなく、佐久早は私自身の髪の毛が落ちていることを責めていたのだ。
「何だ、私の髪の毛なら落ちてるの当たり前じゃん」
私は安堵してソファにもたれる。
「何が当たり前だ。毎日掃除機をかけろ」
「他の男の髪の毛が落ちてて浮気責められてるのかと思ったよ〜」
「それならこんなに軽く聞かない」
佐久早は、浮気を察した時どうするのだろう。ふと興味がわいた。
「どうするの?」
「こうだ」
佐久早は私をソファに押し倒した。佐久早の大きな体躯に覆われ、私の体に影が落ちる。
「せっかくだからこのままするぞ」
「浮気してないのに〜」
と言いつつも、私も乗り気なのだ。佐久早は普段通りのセックスをする。浮気した時にどれほど激しいセックスをするのかは、知らなくていい。
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