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 新郎新婦は私達の高校時代の友人であり、私と及川は距離と時差を乗り越えて長年付き合っているカップルだった。新婦のブーケトスは私が受け取るように、と暗黙の了解のようになっていたのである。実際に私は新婦から目くばせを貰った。

 新婦がブーケを投げる。私は飛ぶが、タイミングが合わずブーケを取り損ねてしまう。着地して振り返った先で、及川が呆れたように立っていた。その手にはブーケがある。私の代わりに受け取ってくれていたのだ。

 新婦達は、私がキャッチできずとも及川が受け取ったことに安堵したようだった。及川は私に向けてブーケを投げて渡す。

「ほら」

 普段から鈍くさいからか、そんな短い距離のキャッチにすら私は失敗してしまう。

「信じらんない、どんだけ運動神経悪いの?」

 及川は呆れたように笑い、地面に落ちたブーケを拾った。

「お前には直接渡した方がいいみたいだね」

 私の方に歩いてきて、跪く。何故及川は膝をついているのだろう。これではまるで、結婚の申し出をしているみたいだ。

「及川、プロポーズしてるみたい」
「みたいじゃなくてしてるんだよ」

 及川はブーケを私に向けて持ち上げる。

「次の結婚式は俺達の番だから」

 辺りに祝福するような声が響く。新郎新婦ではなく私達を祝っているのだと気付いたのは、及川の余裕のない顔を見てからだ。今は指輪の代わりに、このブーケが私達の証明だった。