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「オイ、ここは天国じゃねぇのか?」

デビルハンターとしての任務をしている最中、突然空間を転移させられた。敵の気配や攻撃の意図はなく、まるでホテルのような空間が広がっている。ベッドと家電一通り、冷蔵庫には食料も豊富にある。

「決めた。俺はここに住む」

デンジはベッドに寝転んだ。ここは要件を満たすために一時的に私達を閉じ込めておくための施設だが、デンジとしては大喜びのようだ。敵は私達に嫌がらせをするためにここへ閉じ込めただろうに。

「あのね、ここセックスしないと出られない部屋だから」

私から言うのも誘っているようでおかしいが、突っ込まずにはいられない。セックスしないと出られない部屋に閉じ込められたら、普通困惑するか脱出しようとするだろう。

「セックスしないと出られない部屋ァ? おいおい、セックスまでできんのかよ。いよいよ最高になってきたじゃねえか」

デンジはベッドの上で拳を掲げた。この様子では、衣食住の整った部屋にずっといられると思っているのだろう。

「セックスしたら元の世界に戻るよ」
「てことは俺ァいい暮らしか名前とセックスするかの二択なのかよ……! クソ難しい選択出しやがる……」

今までの勢いはどこへ、デンジは項垂れる。セックスしないと出られない部屋の暮らしを「いい暮らし」と言うのも、ここで一生暮らしていたいと言うのもデンジくらいのものだろう。普通はそこで悩まず、セックスをしたら共に閉じ込められた人との人間関係が悪くなるとかを心配するはずだ。

「まともな食いもん食いてぇ……でもセックスはしてぇ……」

この部屋を出たところで私の家に泊めてあげることはできるんだけどな、と思ったけれど私は言わないでおいた。なんだかんだで、私もデンジと二人で閉じ込められるこの生活を楽しんでいるのだ。