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「好きです。付き合ってください」

 私は人生で初めて告白というものをしていた。相手は私の目の前に立ちはだかり、無表情に私を見下ろしている。その口が開いたと思ったら、告げられたのははいでもいいえでもなかった。

「高専卒業まで別れない自信はあるか」
「え?」

 これは、オーケーなのだろうか。それとも伏黒くんは、この質問の答えによって答えを変える気なのかもしれない。

「四人のクラスだろ。あいつらに気を遣わせるのは面倒だ」

 高専は人数が少なく、私達一年生は四人だけだ。必然的にクローズドなコミュニティになるし、その中で付き合った、別れたがあれば面倒だろう。私が今まで告白を温めていたのもこういう理由だ。

「で、どうなんだよ。俺と絶対に別れない気でいるのか」

 先程は高専卒業まで、と言っていたのに気付けば期限がなくなっている。それは聞かなかったことにして、私は高専卒業までの気概を述べた。

「別れない、つもり」
「ならいい」

 伏黒くんの態度に、告白しているのは私の方なんだよねと聞きたくなる。私から告白したはずなのに、伏黒くんの方が私に付き合えるか聞いている。

「付き合ってもいい、ってことだよね?」

 私が問うと、伏黒くんは鋭い視線を寄越した。

「それ以外に何があるんだよ」

 伏黒くんは私をどう思っているか言わなかったけれど、もしかしたら結構乗り気なのかもしれない。その証拠に、伏黒くんは私に手を差し出した。

「俺達のいざこざに虎杖とかを巻き込むのは避けるつもりだけど、高専の敷地内ではイチャつかないとかそういう気はないから」

 この手は繋げということなのだろう。私が伏黒くんの手を取ると、伏黒くんの口角が僅かに緩んだ気がした。