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「じゃーん! 二人共どうだった?」
 ドッキリ大成功、という看板の文字が見えそうだ。突然ホテルの一室に突入してきた南雲は、私達二人を見下ろした。まるで動物チャンネルを見るような目つきであったが、神々廻はまだ私の中で動いている最中だった。規則的な動きが一時的に速まり、小さな吐息が漏れた後、神々廻は合点がいったとばかりに目を細めた。
「なんや、そういうことかいな」
 事の始まりは今から二時間前に遡る。私はセックスをしたい気分だったので、南雲をホテルに呼んだ。ところが来たのは神々廻だった。釈明しておくが、私は南雲や神々廻と付き合っているわけではない。だからどちらとしかしてはいけないわけではなかったし、私に陰茎という肉の塊を打ち込んでくれるならどちらでもよかったのだ。
 神々廻は何を聞かされたのか、「何くつろいどんねん、もう終わったんかいな」と私をどついた。私が神々廻(あるいは南雲)のために着ていたネグリジェは、これから任務で狩る標的のためのものだと思われたらしい。
「これからでしょ?」
 そう言って、私は神々廻をベッドの上へ引きずり込んだ。神々廻は任務のことを忘れたようだった。覚えていたかもしれないが、神々廻にとっては片手間でいいと思ったのだろう。とにかく、神々廻は私の誘いに乗った。私の肌に手を走らせ、私の舌を自らの舌でからめとった。神々廻の舌は熱くぬめっていた。その湿りを帯びたまま私の乳首に触れ、陰核に触れた。まるでなめくじが這うような感覚に私は体を震わせた。
 そうしながら、神々廻は私の体の敏感な部分を触った。私は自分の体にいやらしい部位がついているということを認識せざるを得なかった。もし今標的が来たら(来るはずがないが)神々廻はどうするのだろう、ということは考えなくなっていた。
 ベルトの金具の音がして、神々廻の陰茎が撃ち込まれる。私の膣の中の空間を埋めるように奥へ奥へと入っていく。異物感が快感に変わり、神々廻の陰茎はいとも簡単に私のいい場所を突く。リズムに乗って私が揺らされている最中に、南雲がやってきたというわけである。
「南雲、お前嘘つきよったな」
 神々廻は一回射精して、頭が冴えたようだった。長い金髪をかき上げ、睨むともとれない目で南雲を見やる。恐らく神々廻は、このホテルで任務があるから行ってくれというような電話を神々廻に入れたのだろう。私が南雲へお誘いの電話をした後に。
「だって神々廻と名前ちゃんいい感じだったからさ〜、くっつけてあげたら喜ぶんじゃないかと思って」
「いい感じだったよ」
 南雲の言葉に神々廻は怒らなかったが、間髪入れずに私が答えると「いらんこと言うな」と軽くはたかれた。こうしている間も私は全裸で、神々廻は陰部だけ露出している。同僚とはいえ変な心地だ。
「お膳立てしてもらったところ悪いけど、俺達前からしとるで」
 神々廻の言う通りだった。今日は気分的に南雲に電話しただけで、それが神々廻の時もある。私達はくっついてこそいないが、体の関係はあったのだ。それを主張する神々廻の声が、やけに強かったのは気になるが。
「なーんだ、じゃあ今日は僕がすればよかった。名前ちゃんもう一回できる?」
 そう言って南雲はベッドに乗り上げてきた。神々廻はズボンの前を閉じ、冷蔵庫から炭酸水を一つ取り出す。
「俺の見てへんところでしてくれん?」
 そのままテレビをつけて、つまらないBSの番組を見始めた。見渡す限りの大自然、とあるがそんなものに興味があるのなら狭いラブホテルより外に行くべきだった。
「いーよいーよ、気にしないで」
 南雲は神々廻に言いながら挿入した。一度果てたばかりで脱力した体に、また緊張が走る。南雲のピストンはダイナミックにベッドを揺らした。私の胸も揺れ、喉からは先程と同じような嬌声が出た。
「あっ……ん、はぁ……ん」
 ラブホテルでは至って普通のことだ。問題は、神々廻が平気そうな顔をしてテレビを見ていることだった。どうしてテレビに集中できるのだろうか。南雲もまた、神々廻がいる横でどうしてセックスに集中できるのだろうか。私は気になって仕方ないのに。
 私の心がどうあれ体に刺激を与えられれば気持ちいいことには変わりなく、私は散々喘いだ挙句に果てた。その後も何度も陰茎を突っ込まれた。南雲はドライなもので、自分が果てたらすぐに「じゃあね〜」と帰って行ってしまった。ベッドに残された私に、「ん」と神々廻が炭酸水をくれた。相変わらず目線はテレビに向いている。
 私は炭酸水を飲み、一息ついた。付き合うなら神々廻がいい、とは思わない。二人共体の関係だけで、真面目な恋愛関係はごめんだ。もっとも私に真面目な恋愛ができるかどうかは別の話ではあるが。
 気付いたら私も、つまらないBS放送に見入っていた。