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南雲さんに触れてから、私はとあることを確信していた。私が誰かに触れると、その相手の考えていることがわかってしまう。無条件に思考を読める超能力者もいると言うし、ありえない話ではない。
先程から南雲さんは私に触れてくる。今は触れると思考が流れてくるから意識しているだけで、普段から私達はこれほど触れ合っているのだろうか。急に今までの自分が恥ずかしく思えた。だが今はそんなことを言っている場合ではない。南雲さんに伝えずに勝手に思考を読んでいるのでは、フェアではないだろう。
「相手に触れると、思考が読めるようになってしまったみたいなんです」
南雲さんはきょとんとした様子で私を見た。その顔に一切焦りは浮かんでいない。私は南雲さんから、私が好きだということすら伝わってきているのに。
「じゃあ、僕が今何考えてるのか当ててみて」
南雲さんは私の手を握った。そんなことにすらいちいち反応してしまう。すべて南雲さんが私を好きだと無意識に伝えてきたせいだ。南雲さんは私の言葉を楽しそうに待っている。好きなのは南雲さんなのに、何で私から好きだという言葉を言わなければいけないのだろう。言わなくては、南雲さんは放してくれそうにない。
「好き、です」
私がその言葉を言った瞬間、南雲さんはまるで自分が告白されたかのように笑顔になった。
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