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赤葦に体育館の裏へ呼び出された。それだけで内容の予想はついたが、案の定中身は告白だった。私は言葉を選びながら口を開く。体育館裏とは定番のスポットだが、よく自分の部活をやっているすぐそばで告白する気になれたものだ。
「ごめん、赤葦とは付き合えない」
私が言うと、赤葦は動揺もせずに尋ねた。
「好きな人がいるんですか?」
「いないけど」
今は恋愛する気になれない、その声を遮って赤葦は話す。
「いた方が絶対楽しいですよ」
段々赤葦の意図が掴めなくなってきた。赤葦は異性として私を好きで告白していたはずなのに、今はまるで同性に恋愛を応援されている気分だ。赤葦のことがますますわからなくなりながら、私は言葉を紡ぐ。
「でもそう簡単に作れるものじゃないから……」
私が怯んだ隙を狙ってか、赤葦はすかさず滑り込む。
「じゃあ俺がサポートします」
私は目を瞬いてから、冷静に言葉を噛み砕く。赤葦は私のことが好き、という大前提で今話しているはずだ。
「赤葦を好きになるのを?」
私が尋ねると、赤葦は当然と言うような表情で頷いた。
「はい、自分の長所は誰よりも知っているので」
そのあまりに堂々とした態度に、私は笑い出しそうになる。一度フラれておいて、めげずに自分を売り込む赤葦に可笑しくなったのだ。そこまで言うならいいか、と折れる私は単純だろうか。赤葦の掌の上かもしれないと思いつつ、私は頷いた。
「じゃあお願いしようかな」
これなら最初から告白をオーケーしておけばよかったかもしれない。だが赤葦なら必ずいいタイミングでまた告白してくれるだろうという信頼のもと、私は赤葦を好きになることにした。
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