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「やっぱりこうさぁ……好きな女の内臓に突起物突っ込むって、頭イカれてると思わん?」
「そうやな」
「普段見えんような所に突っ込むんやで? 裂けてまうやろ」
「まあ将来は赤ちゃん産む穴やし」
「何で大人はみんなそんなんが好きなんやろか。理解できひんわ」
私は腕を組み頭を傾げた。その向かいで、至って冷静な口調で治が告げた。
「なぁ、覚悟できた言うんならそろそろしてもええか」
「駄目や!」
私は治に掌を掲げる。治は顔色こそ変えないが呆れたような調子だった。
付き合い始めた時から、治は童貞ではないと知っていた。あれだけの女と付き合っていてしていないわけがない。そして同じように治も私が処女であることを知っていた。治は私を急かすことなく「待つ」と言った。私達はキスやハグをするプラトニックなデートを重ね、遂に私の部屋に治を呼ぶまでになった。「覚悟できた」の一言を添えて。だが実際にはその覚悟は周りに置いて行かれる焦りと治を待たせている罪悪感から来たものなのかもしれない。私のベッドの上で向かい合い、もう十分もこうして話し合っていた。勿論服は一枚も脱いでいない。早くしないと、お母さんがパートから帰ってきてしまう。
「覚悟はできたんやろ?」
治を家に誘った時に私が言った言葉を治は繰り返す。言質を取られたような気になって、私はもうどうにでもなれと叫んだ。
「できた! 治とみっちりセックスしたる!」
「ならやろうや」
「それは駄目や」
原点回帰した私に治がため息を吐く。セックスのできない彼女などいらないと捨てられてしまうだろうか。すると私の心を読んだように、「俺が呆れてんのはできてないくせに覚悟できた言うて強がるからやで」と治が言った。怯む私の上に治がのしかかり、男子高校生一人分の体重が私にかかる。
「なぁ、倒れてまう」
「倒れろや」
治が私の体を押すと、私の体はベッドの上に倒れた。その上に治が覆い被さって息に詰まる。私の顔の横を、治のアッシュグレーの髪が撫でた。
「そんなにやりたい気持ちがあるならできるように努力することや。まずは慣れることからや」
そう言って治は私の上で動いた。治の胸と私の胸が触れ合うのが分かる。男の子の体とは、こんなにも硬いものだっただろうか。私は治の背へ手を伸ばした。分厚くて、温かい。
「どや? 慣れてきた?」
そう語る瞳と至近距離で目が合った瞬間私の心臓は縮み上がって、これはもうしばらくセックスは無理そうだと思った。
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