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それは五条さんと合同任務になった時のことだった。五条さんは呪霊を祓った私に対し、ポケットから綺麗な箱を取り出して渡すのだ。
「本当名前は可愛いねえ。はいこれあげる」
その中身は高価なアクセサリーに決まっている。五条さんは、こうして事あるごとに私に物を貢ぐのだ。本人からすれば飴をやっているような感覚なのかもしれないが、与えられる方としてはたまらない。
「そうやってすぐ物あげるのやめてください! パパ活になってしまいます!」
私が言うと、すかさず五条さんが自分を指差した。
「僕の年齢ディスってる?」
確かに五条さんはアラサーだが、年齢の問題ではない。歳の差がある男女が親しくし、見返りに金品を貰うということは、世間一般では金稼ぎに入ることなのだ。五条さんは不満を露わにして口を尖らせた。
「別にいいじゃん。名前を本気で好きだからあげたくなっちゃうんだよ」
本気で好き、などという人によっては動揺しかねない言葉にも動じない。軽薄な五条さんの場合、そもそもこの言葉自体が出まかせの可能性もあるからだ。
「でもこれだと援助交際っていうか……」
私が言うと、五条さんは解決したとばかりに手を叩いた。
「わかった、ちゃんと付き合えばいいんだ。名前も早く告白してほしくて言ったんでしょ? 可愛いね」
いつのまにか私が付き合いたいと強請っているような形になっている。私は焦りながら口を開いた。
「そ、そういうわけじゃ……! 私は高いプレゼントをやめてほしくて」
私の動揺など意にも介さず、五条さんは真剣な声を出す。
「返事は?」
「はい……」
結局私は、五条さんに振り回されてばかりなのだ。
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