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 私は決して自己評価が高い方ではない。自分が告白して喜ばれるなど思っていないし、むしろ好意自体が迷惑なのではないかと思う時がある。それでも人には、抗えない衝動というものがある。勢い任せに告白すると、案の定月島君はいい顔をしなかった。

「あのさぁ、今告白するメリットって何? 今僕試合前だから恋愛とかしてる暇ないんだけど」
「自分の気持ちを伝えたくて……」

 イエスでもノーでもないクレームを叩きつけられる。遠回しなノーなのだろうが、それにしても心に刺さるというものだ。バレー部の試合スケジュールを把握きておけばよかった。いや、閑散期に告白してもフラれていたのかもしれないけれど。

「仕方ないな、試合終わったらまた告白しにきてよね」

 月島君はため息をついて言った。その言葉に私は目を丸くする。今のは断り文句ではなかったのだろうか。月島君が余程の鬼畜でもない限り、二度も告白させる必要はないはずだ。

「それって試合がなければオーケーってこと? なら月島君から返事してくれればいいのでは……」

 私は思ったことを言ったにすぎないのだが、月島君からすれば余計な出しゃばりだっただろう。月島君はあくまで自分のペースで恋愛をしたいのかもしれない。

「うるさい。君が好きになったんだから君から告白すること。もうこの話は終わり」

 シャットダウンするようにヘッドホンをつけられ、私は途方に暮れる。どうしても自分から好きだと言いたくない月島君のために、私は二度目の告白をしなくてはならないようだ。