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 毎週火曜はランチミーティングがてら部活のメンバーで昼ごはんを食べる、というのが我が部の決まりである。ミーティングと言っても今週の予定を確認したら後は雑談のようなもので、今日は思いもよらぬ方向へ話が逸れた。

「好きな人いる?」

 果たして何と答えるべきか。私が口を開くより先に、そばを通りかかった佐久早が口を挟む。

「俺です」

 先輩は一体誰だと言いたげな顔をしていたが、私や他の二年の反応を見ていたら察したらしかった。その場は特に言及されることもなく解散する。予鈴が鳴った頃、私は斜め向かいの佐久早を小突いた。要件はわかっているのだろう。佐久早は不機嫌そうに振り向く。

「何だよ。俺が好きなんじゃなかったのか」
「だからって勝手に言わなくていいじゃん!」

 私とてタイミングもあれば言う人は選びたい。そこまで絡みのない先輩に、好きである本人の顔まで見られることは避けたいのだ。

「お前にとって俺を好きなことは恥ずかしいことなのか?」

 どう解釈したのか、佐久早はそんなことを言う。佐久早は自己肯定感が低いのだろうか。全国優勝したバレー部のエースとして、少なくとも私は尊敬しているのだけれど。

「片思いがバレるのが恥ずかしいの!」

 喚く私の横で、佐久早は教科書やらノートやらを整理する。

「じゃあ付き合ったらいいのか」

 暫くの間沈黙が降りる。少なくとも、私はそんな簡単に付き合うことを了承できるほど恋愛慣れしていない。

「今、付き合う流れだった?」

 私が問うと、佐久早は前を向きながら「そうかもな」と言った。それ以上言及する暇はなく、本鈴が鳴った。