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 ローに好きだと言った。同盟を結んでいる間柄で付き合いたいと思っていたわけではないが、ローがどう思うのかは気になった。ローは喜ぶでも断るでもなく、静かに前を見据えた。

「お前がおれを好きだと言ってもおれの気持ちは変わらない」
「そっか……」

 ダメだったのだ。大人のローのことだから、今後の同盟や人間関係に支障をきたすことはないだろう。私は努力して普段通りに振る舞った。ローもまた何事もなかったかのように過ごしていた。ただ、戦闘になった瞬間、ローの態度は一変した。

「何やってる! おれの後ろにいろ!」
「フったくせに何その扱い!」

 今まで別々に戦っていたはずが、わざわざ私と組むようなことを言い出したのである。いや、組むよりも守ると言った方が正しいだろうか。私もれっきとした戦闘員だ。反論すると、ローは爆発にも負けない大声で叫んだ。

「好きだって言ったんだろうが!」
「わかりにくすぎでしょ!」

 おれの気持ちは変わらない、というのは好きなままであるということだったのだ。一度でそのように受け取れる人などいないだろう。ローと話している間に敵が迫っていたようで、ローはルームを作る。敵がどこかへ飛んで行った後、私達は薄い膜の中でキスをした。

「わかったか」

 戦場の喧騒が遠くに感じる。ルームの中には、紛れもなく私とローしかいなかった。

「……わかった」

 ローと見つめ合う。次の瞬間、敵が襲来して私達は別々に動き出した。海賊同士で付き合うのも難儀なものだ。