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「ほんまその性格なんとかならんのか!」

 私が言ったのは、「忘れとった」と言って今日一緒に帰れない旨を伝えられていなかったことだった。侑に何かあったのかと心配した私は、こうして侑の自主練が終わる時間まで待っている。侑は軽々しく謝った後、私のせいだと言うように私を睨んだ。

「責任とってお前が治せや」
「何で私のせいみたいになっとんねん! 親やないし!」

 一応彼女というポジションにいるが、今の侑を作ったのは私ではない。私と侑は出会って二年も経たない関係性なのだ。責任をとれと言うのならば、治君やご両親に向けるべきだろう。

「でもこれから一生付き合うんやろ?」

 侑の言葉に、私は呼吸を停止する。侑はそこまで考えていたのだろうか。高校生の恋愛など、大抵すぐに別れる。とまでは思わなくても、一生を考える年齢ではない。ましてや、遊び人の侑ならば。だからこそ私が治せと言ったのかと、私は密かに納得した。

「何や。別れんのか」

 不服そうな侑に小声で否定する。

「そないつもりはないけど……」
「なら俺のカスタマイズよろしくな〜」

 肝心なことは言わず、おどけた口調でなあなあにしてしまう。その「よろしく」は、受け取りようによってはプロポーズになるのだけどいいのだろうか。私の周りだけ気まずい空気が流れる。侑に怒る気は、もうとっくになくなってしまった。