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 付き合って数日が経つ。未だ佐久早に告白されたという興奮は冷めないままで、今の私は相当な浮かれ具合だろう。となると、質問の一つや二つしたくなるものだ。

「佐久早っていつから私のこと好きだったの?」

 調子に乗るなと言われるかと思った。しかし佐久早は顔色一つ変えず、機械的に口を動かした。

「高一から」
「三年間も私のこと好きなまま可愛い子をフり続けてたの!?」

 思わず大きな声が出る。佐久早が私に告白してきたのは高三の現在だ。それまで佐久早と知り合いではあったものの、特に親しくもない距離感だった。バレー部のエースである佐久早は女子にモテており、沢山の告白を受けてきたはずである。少しはミーハーな女子に浮かれてもいいはずだ。

「いくら何でも温めすぎじゃ……」

 好きなら好きで早く告白してしまうか、三年も待たずに告白してきた女子と付き合ってしまうか。普通はそのどちらかである気がする。佐久早は変わり者ではあるのだけど、恋愛面においてもそうなのだろうか。

「絶対にフラれない確証が欲しかった。お前が好きになるのが遅いのが悪い」

 あくまで慎重なのが佐久早らしかった。最後に何故か私が責められているが、これは甘えなのだろうか。私は歯切れ悪く言い訳を口にする。

「いや、私だって告白されたら意識したかも」
「意識じゃ足りない。好かれないと意味がない」

 そう言う佐久早は好きだという気持ちを三年温めるだけあり、相当重い気がした。しかしその重さも可愛く思えている私も同類なのだろう。できたばかりの自分の彼氏が、弟のような気がしてきた。