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同窓会とは卒業して十年が経ってからするものだと思っていた。それは世間を知らない私の思い込みで、実際にはまだ大学生だというのにかつてのクラスメイトで集まっている。当時は冴えなかった人達でさえ、どこか垢抜けて酒を飲んでいた。そうした集まりの中心に入れない者達は、必然と端の方に寄せ集められるのである。
「私が告白したの覚えてる?」
「当たり前だろ」
佐久早が隣に来たのをいいことに、私は佐久早に絡んだ。センシティブなことを聞いたからと言って、何かに発展させるつもりは全くない。むしろ今では何の気もないからこそ聞けるのだ。当時は佐久早への憧れと恋愛への憧れが半々くらいだっただろうか。佐久早が食い気味に答えたことに少し気圧される。佐久早の横顔は相変わらず何を考えているのかわからなかった。
「告白なんかされたら嫌でも覚える。勇気出してしたんだろ」
私は誤解していた。佐久早は結構真面目な男だったのだ。バレー部のエースでモテていたし、告白してきた女子など覚えていないと思っていた。対する私は、勢いに押されるように告白したのだった。
「遊びで告白したのか?」
ぎろりと、佐久早の目がこちらを向く。私は何故か焦りながら否定の言葉を探した。まるで浮気がバレた恋人のようだ。
「本気だけど! 仮に遊びだったとして今気にする?」
私の質問はもっともだった。もう告白して何年も経っているのだ。佐久早の執着の方がおかしいと言えるだろう。
「俺は気にする」
小さな子供のように言った佐久早を見て、そういえば佐久早とは変わった奴であったと思い出した。そんな変わったところを好きになったのだ。今感じているのは、懐かしさか好意か。どちらにせよ今夜どうにかなるということはないだろう。佐久早が慎重な奴であるということは、身を持って知っているのだから。私は安心して酒を口に運んだ。
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