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 間接照明の光が部屋に灯りを投げる。橙色に照らされた彼女の肌は、より艶やかに見えた。佐久早は陰茎を抜くことすら忘れ、彼女の上に覆いかぶさった。

「あと何回セックスしたら付き合ってくれるんですか」

 佐久早の瞳は真剣だった。セックスをするだけの仲ではあるが、佐久早の気持ちは本物なのだ。そもそも、佐久早はセックスフレンドという関係性に納得していない。あくまで佐久早は、付き合う前の段階としてセックスをしているに過ぎないのだ。

「セックスするのが嫌みたいな言い方だね」

 彼女は挑戦的な目を向けた。佐久早の問いにはまるで答えていない。そういう所が、ずるいと思う。

「……したいけど」

 佐久早の本心の吐露を、彼女は笑う。馬鹿にされている気がして腹が立った。恐らく歳は彼女の方が上だ。関係性においても、佐久早の方が転がされている。佐久早が勝てる日は来ないのだろうか。

「最初にセフレでもいいからって言ったのは佐久早君だよね?」

 それを言われてしまってはぐうの音も出ない。佐久早は最中のように彼女の腰を掴んだ。

「どうして俺の言う通りになってくれないんだ」

 このまま無理をして彼女を突いたら、彼女は考えを改めるだろうか。それよりも素直に快感を喜ばれる気がして、佐久早はやめることにした。セックスではいつも佐久早が優位のはずなのに、彼女にはまるで歯が立たない。だからこそ好きになったのだから、手に負えない。