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ハートの海賊団では、船長であるロー自らクルーの怪我を治療している。大抵能力を使ってすぐに終わるのだが、今回ばかりは難航していた。というのも、相手がローを好きな名前であるからだろう。
「キャプテンに裸見られるのはベッドの上って決めてるんです! 治療は受けません!」
診察台の上で手足をバタつかせる名前を見て、ローは平然と呟く。
「ベッドの上だろうが」
「診察台じゃないですか!」
名前が好きゆえに暴れるのは初めてではないようで、ローは慣れた調子だ。時間をとられるのも気にせず、近くにある椅子にどかりと座り込んでいる。名前は自らの体を恭しく抱きしめた。
「とにかく私はキャプテンとの初めてをとっておきたいんです!」
あくまでも「キャプテンとの」なので、経験自体はあるのかもしれない。その可能性に気付いたが、ローは特に突っ込まずにいた。そんなことを言ったら、それこそ名前に期待させてしまう。
「じゃあおれと一回してから治療を受けるつもりか」
試しに言うと、「いいんですか!?」と猛獣のような瞳がローの方を向いた。少しは自分を大事にしてほしい。
「馬鹿。怪我人を抱く趣味はねェ」
それは怪我をしていなかったら抱くのかということでもあるのだが、今の名前は追求する気がないようだった。しおらしくなる様子を見て、たまらずにローが声をかける。
「元気になったらキスでもしてやるよ」
「セックスしてください!」
すかさず放たれた素直な欲求に、ローは呆れてため息をつく。もうこの際服の上から治療してしまうか。だが万が一精度が落ちるようなことがあるといけないので、脱がせるしかない。治療への道のりは遠そうだ。
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