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「そういえば恋愛はどう?」
ワノ国へと向かう道すがら、名前は唐突に尋ねた。
「は?」
一体何故そんなことを問うのだろうか。お前はおれの母親かと言いたくなる。名前に恋愛の話などしたことはなかったはずだ。
「ルフィがローには大好きな人がいるって言ってたけど」
おれは潜水艦から見える海を眺めた。どうやら麦わら屋にした話を曲解しているらしい。今更麦わら屋に口が軽いなど責める気はない。
「それは敬愛とか親愛の話だ……大体もう死んでる」
こうして素直に口に出せるのも、麦わら屋の力でドフラミンゴにかたをつけたからかもしれない。おれが懐古に浸っていることにも気付かず、名前はけろりとしていた。
「なんだ、ローは恋愛してるのかと思ってた」
「まるでおれに好きな人がいるかどうかで何かが変わるみてェな言い方だな」
少し攻めすぎただろうか。だが今の言葉は、おれに好きな人がいるなら何かを我慢するとか、そういった意味合いに聞こえた。海賊だ。今更恋愛に積極的になる気はないが、名前とはそうなってもいいように思えた。横へ視線をやる。名前と目が合う。
「え? ローのことは何とも思ってないよ?」
「勝手におれをフるな!」
一応おれはまだ告白はしていない。雰囲気は伝わってしまったようだが。名前は動揺すらしなかった。
「私のこと好きなの?」
「好きじゃねェ。全然ってことはねェが」
おれは素直に答える。おれにしては攻めた方だ。これで気付かない名前ではないだろう。
「ふーん」
ところが名前は興味など元からなかったように外を眺めていた。おれの言い方で、少しは引っかかるところはなかったのだろうか。自分が恋愛対象外だと言われたような気分だ。
「少しは気にかけろよ……」
おれはまた勝手に、フラれた気分になっている。
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