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日曜日の午後は時間の流れが酷く緩やかだ。こだわりの南に面した窓からは陽光が降り注ぎ、私達を眠りに誘う。しかしこの穏やかな時間を終わらせたくなくて、私は眠気に抗っていた。繋いだ手の力が時折強くなる。聖臣はぼうっと考え事をしていたようで、しみじみとした声で呟いた。
「あの時別れてたら今はないんだな」
恐らくその発言は、今を愛しいと思ってのことだろう。だが過去に別れの危機があったことには変わりなく、私は眠気もどこへ聖臣の方へ顔を寄せた。
「私と別れたいと思ってたの!?」
聖臣が私にベタ惚れだと思っているわけではない。しかし聖臣はいつでも私のことを考えてくれたし、倦怠期というものもなかった。私達の付き合いは順調だと思っていたのだ。
「何年付き合ってると思ってんだよ。そりゃ嫌な面も見えてくるだろ」
聖臣は辟易した顔で言う。確かに、私達の付き合いは長い。一緒に住むにあたっても、お互いに歩み寄ることができないと判断した部分にあたっては不干渉を貫いている。私は時折聖臣を呆れさせるようなことをしてしまっていたのだろう。問題なのは、それが全く見えないことだ。
「今滅茶苦茶重いの怖いんだけど……」
聖臣は外出の用事を事細かく報告させるどころか、毎日のように「好きだ」とのしかかってくる。実際にセックスに及ぶこともあるのだが、殆どの場合は言葉や体の触れ合いを楽しんでいるようだ。
「マイナス面を上回る何かがあったってことだろ」
聖臣は窓の外を眺めながら言った。その先には何が見えているのだろうと、私も窓の外を見てみる。しかし見えているのは二人で選んだ街の平和な風景だけだった。必ずしも同じものを見たり、相手の全てを好きでいる必要はないのかもしれない。男女の付き合いとは不思議なものである。
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