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※ぬるい裏描写あり

 五条さんが媚薬を盛られたらしい。それは悪いことなのだが、真っ先に私の元へ来てくれていることが嬉しかった。パートナーだと思っていたのは私だけではなかったのだ、と当たり前のようなことを思う。五条さんは時折、普通の常識が通じないことがあるのだ。

「大丈夫? 私、今日生理じゃないからできるけど……」

 今までだって自分から誘ったことなどない。だが、今回ばかりは五条さんの役に立ちたいと思った。それは私の中にも性欲があるということではなく、五条さんにしてあげられることがあるならしてあげたいという、慈愛のような気持ちだ。

「いいの?」

 五条さんの吐息は熱かった。私は必死で頷き、五条さんと床にもつれ合う。五条さんの手は大きく、ますらおだった。五条さんの触れる力の強さで、私は五条さんが普段加減してくれていることを知った。私の中を目がけて腰を打ち付ける五条さんは、とてもではないが最強に見えなかった。果てる寸前の余裕がなく、追い詰められた表情に、私の奥がきゅっと締まった。五条さんの体がぶるりと震えたのは、それから少し経ってのことだった。

 事が終わると、五条さんは私の横へ寝転んだ。最中の早急さなど忘れさせる呑気さだった。いくら五条さんが最強とはいえ、媚薬を飲んで一回で終わるものなのだろうか、とふと思う。そもそも五条さんに媚薬など効くのか。

「僕耐性あるから効かないんだよね」

 へらりと五条さんが笑った。まるで私の考えていることがわかるかのようだ。少しは後ろめたさがあるのか、いつものように腰を抱いたり腕枕をしたりすることはなかった。

「じゃあ今までのは……」
「可愛いから付き合ってあげようと思って」

 可愛い。五条さんの性欲に必死に応えている様子を、そう思われていたのだ。私は最中の五条さんの顔を思い出した。私の中の動きに合わせて眉を寄せる五条さんの方が余程可愛いのではないか。しかしそれを言ってはさらに「お前の方が可愛いよ」の攻撃を受ける気がして、私は黙っていることにした。