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 聖臣が風呂を出た時、私はソファに横になっていた。聖臣は本来性欲の薄い人であるのだが、短パンにTシャツ一枚という格好が彼を刺激してしまったらしい。メンズシャンプーの香りを纏わせて、聖臣は私の上に覆いかぶさった。私はうつらうつらとしていたので、特に反応するでもなく横たわっていた。ちょうど夢と現の合間で気持ちよかったのだ。

 聖臣は私に構わず、Tシャツをめくる。私は首を反らして聖臣からの刺激に耐えた。寝たいのに、聖臣の手は気持ちいい。私は自然と「嫌」とこぼしていた。聖臣は一度手を止め、短パンとショーツをずり下げる。

「下のお口は悦んでるな」

 その言葉遣いに、聖臣は私の彼氏なのだよなと一瞬確認してしまった。

「レイプみたいな言い方やめて」

 聖臣は短パンとショーツを元に戻し、私の上半身にのしかかる。聖臣の顔が私の顔のすぐ近くにある。聖臣の呼気が私の肌にかかる。

「レイプなのか? お前は無理やり俺に抱かれてるのか? なあ」

 そう聞かれて、頷けるはずもない。いくら眠かろうが、私は聖臣に欲情されたら嬉しいのだ。わかっているはずなのに、聖臣は言わせようとしてくる。これも一種のプレイだろうか。

「私は……聖臣とセックスしたくて抱かれてる……」

 もう眠さも飛んでしまった。至近距離で呟くと、聖臣は機嫌を良くしたようにまた私の体に触れた。

「最初からそう言え」

 ああ、やはり聖臣は愛のあるセックスしかできない。いくらAVや漫画で好もうとも、聖臣は気持ちを大事にする人なのだ。安心したらまた眠気が押し寄せて、聖臣の窺うよう目と目が合った。今日は聖臣に付き合うことにしよう。私は体の力を抜いた。