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「ホラー映画ばっかり見てるから死ねとか殺すとか言っちゃうんだよ。穏やかになろう?」

 そう言って私がテレビに表示させたのは、学園もののラブストーリーだった。隣の席の女の子と恋に落ちるこの映画は、去年大きな反響を得た。凛は画面を見て顔を顰める。まるで、身内がイチャついているところでも見たかのように。

「俺にクラスメイトと恋でもしろってか」
「やっぱこの映画観るのやめる」

 その一言を機に、私は動画配信サービスの画面を切り替える。私のアカウントにおすすめされているのは様々な恋愛映画だ。その中には、クラスメイト以外の関係性もあるだろう。

「これから凛が見るのは幼馴染とのラブコメ。十本見終わるまでホラー禁止ね」

 私は主人公達の設定を幼馴染に限定し、凛に見せようとした。言わずもがな凛に私と恋愛してほしいからである。恋愛しろと言って他の女とされたらたまらない。凛は不服そうな顔をしていた。

「俺は映画に影響されねえしお前と見るなら何だっていい」

 随分丸くなったものだ。プレイ中は「死ね」「殺す」など言っていたのに、今では一丁前に恋愛の駆け引きらしいことを言っている。私はリモコンをテーブルに置いた。

「じゃあもう殺すとか言わない?」
「お前が浮気したら言うかもな」

 私達は付き合っていたのだろうか。強欲な凛のことだから、勝手に付き合っていることになっていそうだ。そうしたら恋愛映画を見せるのなど今更だろうか。付き合っているかはわからないけど、私は凛のものであるし凛は私のものであるということがひしひしと伝わってきた。でなければ、凛が休日にわざわざ映画を一緒に観ようとしないだろう。

 きちんと告白をして恋仲になるのもいいけれど、今は少し凛の唯我独尊さに甘えることにする。もしかしたらそれを、勇気がないと言うのかもしれない。