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※玲王にモブ彼女あり

 名前とは割り切った関係だと認めている。俺には告白を経て付き合った彼女がいて、時折人肌恋しくなった時名前を呼ぶ。彼女は俺が欲を出すと、まるで獣でも見るような目を向けるのだ。それと違って名前は欲に素直だった。自分から抱いてほしいと頼むこともあった。俺達はセックスフレンドとして完璧な関係を描いていた。

「なあ、この間の男、誰?」

 名前は簡単に股を開いたが、家に上げることは決してしなかった。俺は大してそれを気に留めなかった。ホテルなり俺の家なり、する場所はいくらでもある。

 名前があまりにも酔った夜、仕方なく名前を家まで送ると、そこには随分寛いだ様子の男がいた。まるでここが自分の家だと言うような。俺はそれを問い詰めずにはいられなかった。でも、この時はまだ「どうでもいいと思っている」ふうを装っていた。

「彼氏だけど」
「は?」
「同棲してる」

 俺の中の血液が、ふつふつと沸き立っていくのを感じる。名前は何故平気そうにしているのだ? 俺が怒る可能性を少しでも考えなかったのか? 何故、俺を入れない部屋に男を入れてしまうのか。

 オレは喫茶店の向かいに座る名前の手首を掴んだ。名前は驚いたように俺を見た。そうされると思っていなかったのだろう。何もかも、癪に触る。

「オマエ浮気が許されると思ってるわけ? 俺に股開いといて他の男に尻尾振ってんじゃねぇよ」

 俺の地を這うような声が響く。人前だからこれで済ませているだけで、二人きりだったらもっと凄いことをしていただろう。ホテルに行って名前にお仕置きをするか、いっそ名前の家に乗り込んで直談判するか。俺はその名前の彼氏に何もかもで勝っている自信があった。なのに一番に選ばれないことが、どうしようもなく悔しかった。俺のこの気持ちを名前は知らないのだと思うと、また怒りの炎が揺らいだ。