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今日のサニー号は男達の週に一度の入浴日だった。風呂そのものが祭りかのように、賑やかに上がってくるルフィ達。視線をやるだけで、足は動かさない男がいた。この船に乗り合わせている、ローだ。
「トラ男くんもお風呂入ればいいのに」
一部始終を見ていたナミが言った。乗せてもらっている身で自分から言いづらいだろうという気遣い半分、純粋に衛生が気になる半分だ。
「別にいい」
ローは冷たくあしらう。それが気に入らなかったのか、ナミは目を細めた。
「匂うわよ?」
本当にローが匂っていたのか、ナミの攻撃なのかは定かではない。しかし、風呂に入れていないというのはローも気にしていた事態であった。何と言っても能力者は水が天敵なので、同盟相手といえど無防備な姿を晒すわけにはいかないのだ。このまま異臭を放ってドレスローザで悪目立ちしても困る。
一番ローに対して敵意がなさそうな者――。ローは、そこを通りかかった名前を呼び止めた。
「おれの入浴介助員になってくれねェか」
「は?」
名前は目を丸くしていた。仕方ないだろう。ローの言い方はまるで、男性と偶然恋に落ちて性行為をする職業の表の呼び名のような言い方だった。だが、勿論ローにその気はない。他の連中だとうるさいのか弱みを握ってきそうな者しかいないので、消去法だ。
「金は払う。偶然お前がいたから――」
その「偶然」という言い方がさらに語弊を強めてしまった。ローが積むべきは金ではなく、入浴介助員が純潔なものであることの説明の言葉だったのだ。
「私は風俗なんかしません!」
詰め寄るローを押しのけて、名前は船室へ去って行った。一体何故風俗という名が出るのだと、ローは唖然としていた。
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