私と愛の鍵
「………えっと、どこだろうここ」
目をぱちくりさせてあたりを見渡す。どぎつい色の部屋。どぎついベッド。回転木馬。今まで訪れた施設は…ラブホテル以外にない。それでは、ここはあのラブホテルか?名前は不可解な疑問に首をかしげる。では、なぜ自分はそんな場所にいるのか。確かカジノで愛の鍵を手に入れて使うと…入れるんだったか。この部屋で使用者は相手の妄想の世界に入ることが出来て、相手は使用者を自分の最愛の相手だと思って接する。一夜の夢で、目が覚めると忘れてしまう…と、モノクマが言っていた。
「あ、名前ちゃん!遅いよ!!」
声がかけられてはっとそちらを見ると、あの王馬子吉の姿があった。いつも嘘をついてまわりを困らせるいたずらっ子。そんな彼にはいつも苦労させられてきた。…でも、どうして彼がここに。ずかずかと歩み寄られて手を掴まれる。ぐっと引き寄せられて無理やり同じベッドの上に座らされた。
「っえ、…え?あの、王馬君??」
「もー、何百時間待ったと思ってるのさ!苗字ちゃんが俺を呼び出したくせに!」
「呼び出したって__」
「何、忘れたの?じゃあなんでわざわざ俺の家に来たの?」
苗字ちゃんって記憶喪失?と若干引いたような顔をされて慌てて否定する。どうやら彼にはここが彼自身の家に見えているようだった。…もしかしてこれは彼の妄想の世界なのだろうか。だとすれば、今彼の中で私は最愛の相手。…すると、私たちは恋人同士?突然の状況に色々な意味で顔が真っ赤になる。慌てて立ち上がろうとすると強く掴まれて戻された。彼の不満げな瞳に息をのむ。
「ちょ、ちょっと待って!…いくらなんでも早い!まだ心の準備が出来てないからっ」
「…はぁ?心の準備って何?苗字ちゃんは俺に勉強を教えてもらいに来たんじゃなかったっけ」
「…へ?」
「え、もしかしてそっちを期待してきたの?うーわー、苗字ちゃんって意外と淫乱なとこあるんだ」
「ち、ちが…」
「なーんて、嘘だよ!いくら何でも来てもらって早々に押し倒したりしないよ!ちゃーんとそういうのは手順を追ってやるものだからね!」
ああ、もう。いつも彼の嘘には辟易する。いつだって本音が見えないのだからこちらは気苦労ばかりおわされるというのに、本人はいたって平然としている。しかしまあ、意外と最低じゃないと知ってほっとした。もしかすると彼の理想のシチュエーションとはただ単に恋人と一緒にいることそれだけなのかもしれない。このまま彼が満足するならこちらのものだ。…だから、その手を早く離してくれないかな。さっきから痛いんだけど。
「……王馬君」
「ん?なにー?」
「か、かおが近、い」
懸命に背けようとしているのにそのたびに体を近づけられ、片腕がベッドにつく形になる。慌ててもう片方の手で彼を押し返そうとするも、簡単に絡めとられる。必死の抵抗にくすりと声が耳元で聞こえて思わず身震いした。
「…っ、やっ…ほんとになにして」
「え?だってシたいんでしょ?」
「いや、誰もそんなこと…!」
反論しようと彼の方を向いて、言葉が漏れることはなかった。口がそのまま彼のそれに吸い込まれる。一方的に食べられているような錯覚に陥って、助けを求めようと口を開けたのがもっとまずかった。彼の舌が滑り込んでくる。思い切り身を引いてベッドに倒れこむと彼の体もついてきて……逃げられない。
「ぁ、っふ…は、はめ…っんん!」
逃げる舌をからめとられて、強く吸われる。びくりと跳ねた背中を彼は見逃さなかった。彼の手が背筋を撫で上げる。…たまったもんじゃない。名前はドンドンと王馬の胸板を叩いた。すんなりと口が離れていき、一瞬ほっと安心しきってしまった。
「…っ!ひ、や、やめ……これ、以上は…、だ、めだって…!」
「…本当はダメじゃないくせに?」
首筋を生暖かいものが蹂躙していく。そこにいくらか痛みが走って名前はぐっと歯を食いしばった。背筋を伝う手が前に移動してブラウスをたくし上げていく。やわやわと自分のそれを揉みしだされて抵抗も弱くなる。彼を睨みつけるも妖しげな瞳を細めるだけで効果はない。あえて胸の突起を避けるようにくるくると弄ばれて声が漏れる。
「はぁ…や、だって…っ、」
「だって苗字ちゃんがシたいって言ったんでしょ?なのにいやとか言っちゃってんの?そんな声まで出しちゃって」
「し、たいなんて一言も…ひ、ぁ…」
「…その割には煽る反応してくれるよね。それはわざとじゃないの?」
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