ふとした瞬間、愛というものはこの広い宇宙に比べるとちっぽけなものなのかな、と不安になった。ひろくひろーく、無限に続く宇宙。飲み込まれてなくなりそうで、こわい。

「泉ー」
「何?」
「好きだよ」

名前を呼ぶといつも振り向いてくれる。私が一言呟くと、彼は少し驚いたようで目をぱちぱちとさせた。

「どうしんたんだよ、いきなり」
「んーん、何でもない、よ」
「何だそれ」

あはは、と彼は笑いながら私の頭を撫でる。私は気持ち良くて目を細めた。ぽかぽか温かい。私、ほんとに彼が好きなんだなあ、って改めて感じたのと同時に、さっき考えていた事が頭の中に浮かんできてこわくなった。

「…泉、」
「ん、」
「宇宙って広いね」
「は?…まあ、そうだけど」
「…宇宙に比べるとちっぽけなものなのかな、愛ってものは」
「……」
「そう思うと不安になってきて」
「…おい」
「何もかも飲み込まれそうでこわくて」
「おいっ!」

ぐっ、と肩を掴まれた。顔を上げて見れば、彼と目が合う。彼は少しむすっとしている感じだった。

「あのさ、」

肩を掴む力が強くなる。泉、痛いよ。そう呟くと黙ってろと言われた。彼の真剣な瞳を見つめる。

「俺さ、お前のことすっごく愛してるつもりだったんだけど」
「…へ?」
「だからっ!」

彼の言葉の意味をいまいち掴めなくて私が首を傾げると、彼は顔を真っ赤にさせて強い口調で言った。また、ぐっ、と力が強くなった。

「俺の、お前への愛は宇宙に飲み込まれる程度のものじゃねえって事!」
「…泉っ」
「お前はどうなんだよ」
「私、も」

そうだ、不安になる事はない。私は宇宙になんか負けないくらい彼を愛している。それで良いじゃないか。泉、愛している。私は笑った。


090531

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