「つーかさ、ノヤっさんと阿って付き合ってんの?」
「付き合ってない!(是非とも付き合いたい!)」
「付き合ってない!(私より背低いから嫌)」
X ≠ X
「あぁー、彼氏、欲しい、青春したい」
「西谷と付き合ったらいいじゃん」
「・・・それ昨日田中にも言われたけど何で西谷なの」
「仲良いじゃん」
「仲良いけどさぁ・・・」
「彼氏は背が高い人がいいって?」
「私弟2人いるんだけどおっきいほうが西谷と一緒くらいでさ・・・弟と同じ目線で見ちゃう」
気づけば高校2年生だった。
女子高生というブランドを掲げられるのもあと1年と半年くらいになってしまった。1年生は学校になれたり新しい授業にわたわたして1年が過ぎ、3年になったらきっと、受験勉強漬けの1年になる。そう、青春するのは今しかないんだ。
「あ、やば、お迎え行かないと」
「小さい方の弟くん?」
「そう!また明日ね〜」
「ばいばーい」
小さい方の弟はまだ保育園に入ったばかりの本当に小さな弟。お母さんも迎えに来れるけど烏野から近いってことで私の役目なのである。まぁ嫌じゃないからいいんだけどさ。
「お、阿!帰んのか?」
「あ、うん、帰る。西谷は部活だよね?」
「おう、つーか練習見に来いよ。1年の時から誘ってんのにまだ1回も見に来たことないだろ?」
「あー・・・ごめんね?」
「弟の迎えがあるんだっけ?」
「そうそう」
「ま、しょうがねーけど、絶対俺かっこいいのによ」
「西谷が、かっこいい?まじで?」
「おいこら馬鹿にしてんのか」
「だって西谷がかっこいいなんて想像つかない!」
いつも馬鹿ばっかしてるし、と続けるとムッとする西谷。弟がいるせいか、つい頭を撫でてしまう。あーワックス使っててゴワゴワする。
そんな私の行動が嫌だったのか、西谷は私の腕を掴み、じっと見つめた後「じゃあ」と一言言いこの場から離れてしまった。・・・・・・いつもなら突っかかってくるのに、まぁいっか
「あー明日英語のテストだから勉強しないと・・・ってあれ、ノートも教科書もない・・・嘘・・・机の中に入れっぱなしだ・・・」
英語は1限からだから朝やろうにも時間が足りない・・・でもしないといけないし・・・どうしよう・・・7時か・・・しょうがない
「おかーさーん、学校にノート取りにいってくる」
「暗いけど大丈夫?」
「うん、自転車で行ってくる」
「気を付けてね」
「はーい、行ってきます」
家から自転車で10分。比較的近いところにある学校
普段の喧騒は全くなく、暗く静かだった・・・怖いなぁ
真っ暗の教室は雰囲気ありすぎて口から心臓が飛び出そうくらい怖かった。できる限り無駄な動きはせず俊敏な動きで自分の席に行き、机の中からノートを取った。もう今度からノートを忘れないようにしよう。
暗い校舎を出ると周囲の暗さに不釣り合いな明るさが目立っていた、あれは・・・体育館?
「上がったぞ!!西谷!!」
「ハイッ!!」
西谷・・・ということはバレー部か・・・こんな時間までしてるんだ・・・大変だな
ちょっとした興味本位で体育館を覗いてみた、ほんとに興味本位だった、なのにそこに行われていた光景に私は吸い込まれるように見入ってしまった
「ナイスレシーブ!!」
「ブロックブロック!!」
「おいちゃんと飛べ!!」
目に入ったのは数時間前に話した前髪だけ金髪の変なやつ。
入学してすぐ席が隣でドキドキしている私にあの馬鹿みたいな大きな声で声をかけてきて、初めての友達になって・・・毎日馬鹿みたいに騒いで、授業はびっくりするほど静かに寝ていて、時々田中とマネージャーの清水先輩について語って・・・一緒にいて楽しいやつだった
そんなやつが普段見せない気迫を見せて、真剣な顔つきでボールを追っていた。女はギャップに弱いなんてティーン誌に載ってあったけどその通りだった、あの時私はギャップなんかに揺らがないなんて思っていたのに
西谷かっこいいじゃん、衝撃が強すぎたせいであまり機能していない頭で浮かんだのはその感情であった
「よし、今日の練習は終わり!!自主練するやつは程々にしろよー」
金髪オールバックの人が声を掛け、部員が話をしながらバラバラと散らばっていく
私が目を話せることのできない西谷も普段の顔に戻り、オレンジ頭のちいさい子と話をしていた、だけど普段の顔のはずがいつものように見えなかった、そんな顔ですら私の心臓は高鳴り続けている、どういうことなの
「あれ、阿!!どうしたんだよ!」
「に、西谷!!」
「俺見に来てくれたのか?」
「ちがっ・・・」
「ちぇ、違うのかよ・・・で、なんでこんな時間に学校いんだよ」
「あの、教室に英語のノート忘れちゃって」
「英語?相変わらず真面目だな」
「そ、そう?」
「ん、つーかもう暗いし、送る。着替えてくるから待ってろ」
え、いいよ!という私の言葉な西谷の「すんません!俺今日自主練しないで帰ります!お先失礼しまーす!」という言葉に掻き消されてしまった
体育館に続く渡り廊下に寄りかかり、ぼうっとしていると思い浮かぶのはさっきの西谷。なに私、ほんとさっきから西谷のことしか考えてない
5分くらい待っていると目の前からいつも見る西谷がこっちに走ってきた、ああ心臓が痛い
「待たせたな!」
「ううん、でもよかったの?練習・・・」
「おー今日は早めに帰ろうと思ってたんだよ」
「そ、そうなんだ・・・」
「それより阿が練習見てるなんてびっくりしたぜ!」
「私もまさかこんな時間までしてると思わなかったよ」
「で、どうだった?」
「ど、どうって・・・?」
「俺、かっこよかっただろ!」
「!!」
太陽のような笑顔でニカッと笑う西谷を直視してしまった
血流がすべて頭に向かってるような感じがして、途端に顔が熱くなった。やばい、今顔が真っ赤かもしれない
何で顔が赤くなるの、なんて意味のわからない質問を自分の中で投げかけて思い浮かぶのはさっきの西谷、まっすぐ前を見つめるその姿、ボールを追う、姿
「・・・そんな反応されると期待するじゃねーかよ」
「え・・・?」
「よし、決めた。阿止まれ!」
「は、はい」
西谷に言われてその場に立ち止まる。まわりは暗く、西谷の顔も街灯でなんとなくわかる程度だ
数秒間口を一文字に結んでじっとこっちを見つめる西谷は、意を決したように口を大きく開いた
「好きだ!!」
「・・・え?」
「お前が俺を背が低いから嫌って言ってんのも知ってる!だけど俺は諦めねぇ、背が低くても好きになってもらえるようになってやる!」
「西谷、え?私のこと、好きな、の?」
「おう、1年の頃からな!」
「そ、そう、だったんだ・・・」
「阿全く気づかねーんだもん」
「そ、そりゃあ気づかないよ・・・西谷はいい友達で・・・でも・・・」
「?阿・・・?」
「さっきの西谷、いつもの馬鹿してる西谷じゃなくって、かっこよかった・・・」
「まじで!俺のこと好きなのか!?」
「わ、わからない!でも、ドキドキしてる・・・」
そう、ドキドキが止まらないのだ
西谷のバレーしている姿を見てから、ずっと
恋だなんて認めたくない、きっとバレーがすごかったからと言い聞かせていてもそんなことじゃないと言わんばかりに止まらない心臓
「うおおおよっしゃー!!絶対好きって言わせるからな!!」
「で、でも・・・嫌じゃない?」
「??何が?」
「だって、昨日まで西谷のこと背が小さいから、とか言ってたんだよ?こんな簡単に気持ち変わって嫌じゃない?軽い女って・・・思わない?私が西谷の立場だったら、嫌だよ」
「ははっ、んなもん関係ねぇ!」
「え・・・?」
「俺は阿が俺のこと好きになってくれればそれで良い!好きになった時間とか、タイミングとかそんなの関係ねぇよ」
「西谷・・・」
「告白したからにはこれからガンガン押していくから覚悟しとけよ!!」
(「お、阿!体育館前で何してんだーもしかしてノヤっさん見に来たとか?んなわけねーか!」)(「!!」)(「え、まじ?・・・ノヤっさんすげぇ・・・」)
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