「ほんまきもいねんけど」
「今の私によくそんなきつい言葉をかけれるね・・・」
「知らんわ」
出会いと別れの春。未だ寒さは残るが、これから暖かくなっていき、夢と希望を見据えた時期である。だがみんながみんなそんな余裕を持っているとは限らない。例えば私、ある意味人生を分けるといっても過言ではない“受験”というものを控えている。つまるところ焦りとナーバスの協奏曲状態なのである。
「ちゅーか先輩もう授業ないんやから学校来んでもええんやろ?」
「学校来たら光に会えるやん?ビバ私の癒し!」
「来んな」
「う、嘘だよ〜ほら、家じゃ勉強集中できないし友達も学校来てるから切磋琢磨できるというか・・・」
「そのお友達は今もせっせと勉強してるんやないんですか」
「ウッ・・・」
勉強勉強勉強、ご飯食べて勉強、お風呂入って勉強、そして勉強という勉強のゲシュタルト崩壊を起こしている私は、休憩中も勉強しなくてはいけないのではないかという思いが渦巻き、オンオフをうまく切り替えることができなくなっていた。それもあって私の一個下の後輩、財前光のところに癒されに来たのだが(教室来た時本当に嫌そうな顔をしやがった)まぁこの通りである。先輩と受験生のダブルネームを持つ私に労わりの気持ちが一切ないのである。あんまり期待してなかったけど。
「光ぅ・・・」
「ヒトの机に突っ伏さんといてくれます?」
「酷い・・・もっと労ってよ・・・」
「はいはい、お疲れお疲れ」
「思いがこもってない・・・」
「めんどくさ」
「光のアホ、バカ、鷹、オリンピックピアス、オリンピック出てみろボケ」
「わけわからへん」
期待はしてなかったけど少しは労わりの言葉をかけてくれるんじゃないかと思っていた。その思いをギタギタに踏み潰してくれた期待を裏切らないうちの能ある鷹。隠している爪を存分に活用してギタギタにしてくださった。そんな鷹くんがポケットをゴソゴソしてるから何かくれるのかと顔をあげると、スマフォを取り出し「あ、謙也さん?おたくのうざいクラスメイトが後輩の邪魔しとるんで回収しにきてください」とか電話しやがった。追い打ちかよ。ほんとにブレないなこの子。
「こんな所で油売っとる暇あったら勉強せな」
「・・・そうだね、うん、そうだよね」
「まぁ」
「?」
「ここまできたら成るようにしか成らへんし」
「・・・そうっすね」
「もっと自分を信じてもええんちゃいます?」
「え?」
「俺は試験がどんなもんかはわからへんから簡単に頑張れとか言えへんけど、先輩が毎日頑張ってることは知ってる」
「光・・・!」
「ほら、さっさと帰れや」
「光!!大好き!」
「抱きつくなきもい」
160208
あとすこし頑張ろ。
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