Not work
「あーら、何か汚いモップかと思いきやブラック家のワンちゃんじゃないの」
「・・・その言い方やめろ、ブス」
「悪口が学生の頃から変わらないのね。身体は大人になっても頭の中はまだお子ちゃまかしら?」
腕を組み仁王立ちする女に対し、身長の高い男は睨みつけながら見下した。まさかこんなにも仲が悪いなんて。この家の子どもであるハリーは止めることのできないこの雰囲気に焦りと恐怖を感じていた。休暇中両親の友人たちが遊びに来てくれる、それにその友人たちは自分を我が子のように思ってくれたり優しい学校の先生だ。嬉しくないわけがない、そんな彼の感情とは裏腹にまさかこんな雰囲気なるとはずっとそわそわしていた彼が事前にわかるはずなんてなかった。
「お前そんなんだから結婚できねぇんだろ」
「あら、貴方もじゃない」
「俺はハリーがいるからいいんだ、なぁ?ハリー」
「え、あ、えーっと」
「いいのよハリー無理しなくて。かわいそうにこんなワンコに付きまとわれて大変ね」
しかもここはまだ玄関だ。来客を知らせるチャイムが鳴り、ハリーが迎えに上がった時に後ろからついて来たのがシリウスだった。ドアが開いた瞬間凍りついた雰囲気に誰か魔法をかけたのかと錯覚するレベルであった。そしてすぐに思い出した少し前の吽の言葉。嫌いとは言っていたが、お互いが、ここまで嫌悪感丸出しにする程とは。
「お前なんて一生寂しい人生送りやがれ!」
「うるさいなぁ、私の人生に口出ししないでくれる?ていうか私とお付き合いしたいっていう男性はたくさんいるのよ?」
「はぁ?お前と付き合いたい?おいおい物好き通り越してそいつ人間か?トロールのことじゃないのか?」
「・・・・・・ねぇ、シリウス」
「・・・なんだ」
「貴方どの魔法が好きだったかな?鼻水が止まらなくなる魔法?ズボンが下がったままになる魔法?あぁそれともスキップが止まらなくなる魔法だっけ?」
「ストップ!ストップストップ!トロールは悪かった!な?だからその杖しまおうぜ!」
「吽先生!ほ、ほら久しぶりに会えたんだから喧嘩はやめよう?」
「ハリー・・・・・・チッ、ハリーに免じてやめてあげる。シリウス、次あんなこと言ったらあんたが犬になった時の毛の色をピンクに変えてあげる」
「・・・・・・こいつまじでやりかねねぇからな」
「何か言った?」
「イエ」
ひとまず落ち着いただろうか、ハリーは胸を撫で下ろした。そんな時「あらあら、まだそこに居たの?」と優しい言葉を放つのは少年の母親であった。来るのが遅いよママ。ハリーは誰も聞こえない声でそう呟いた。そのママは「ハリー行くぞ」と少年の肩を抱きながらリビングへと導くシリウスとすれ違うように玄関にやってきた。
「・・・リリー、久しぶり。と再会を祝いたいところなんだけど私手紙で書いたよね?あいつと被らない日が良いって」
「だってジェームズが"みんないたほうが楽しい"って言うんだもの」
「はぁ・・・それを止める役目は貴方なのよ、リリー」
「会えて嬉しいわよ?吽」
「・・・・・・そうね、私もあなたに会えたのは嬉しいわ」
さぁ入って、とようやく玄関をくぐりダイニングへと入ると早くもクディッチの試合の話をするシリウスとジェームズと、その息子。そしてその手前に座るのは彼女が職場でよく見かける人物であった。彼女はとうとう頭を抱えてしまった、彼女の予定では一人でここで訪問しのんびりリリーと話をする予定だったのに。チャイムを鳴らした瞬間からその予定は根本から崩れていたのだった。
「・・・あなたもいたのね、リーマス」
「ふふ、だって"みんないたほうが楽しい"だろ?」
「ほんと、私の周りはこんなにも歪んだ性格の人が多いのかしら」
「類は友を呼ぶって君の母国の言葉になかったかい?」
「あら、喧嘩売ってるの?何倍返ししてほしいのかしら」
「やだなぁ、冗談だよ」
諦めたようにルーピンの向かい側の椅子に座り、リリーが出してくれた紅茶を飲んだ。目の前の雰囲気は昔とまるで違うのにどこか既視感のある雰囲気だった。
161231
[ back ]
ALICE+