because of you
「なんで僕がお前の手伝いなんか・・・」
「セブ得意なんだから手伝ってくれてもいいじゃん」
「帰る」
「ご、ごめん!手伝ってくださいお願いします!」
少し頼り甲斐のないランプだけが光る薄暗い部屋に少年と少女はいた。小さいナイフを持つ手以上に口が動く少女と、ぶつぶつ呟きながら隣に頬杖つく少年だ。時折この光景が見られていたが、その時は決まって少女がその日の魔法薬学の授業で失敗した時だった。
「で、今度は何を失敗したんだ」
「失敗したつもりはなかったんだけど、出来上がった薬がみんなと違ってて、あれ、って」
「ゴブリンを眠らせる薬なんて簡単だろ」
「それができなかったからこうやって先生に居残りを命じられてるんじゃないの」
「はぁ・・・・・・おい、手を止めろ」
「え?」
「切り方が雑すぎる、2mm四方だぞ」
「・・・細かい」
「何か言ったか」
「イエ」
教科書よりも教科書らしいスネイプの脳内はそれを体現するかのように几帳面に目の前の豆を等間隔に切り始めた。変わらず眉間に皺を寄せ、ぶつぶつ呟きながら。
ナイフを奪われた吽はつまらなさそうに頬杖をついているがどこか楽しそうな雰囲気であった。
「で、それを入れちゃうんでしょ?」
「一度鍋の火を止めてからだ」
「えー?」
「そうしないと豆が弾け飛ぶ」
「あー・・・」
「飛んだのか」
「ポップコーンみたいだった」
「はぁ・・・」
鍋の火を消し、ガサツだ、と小さく呟きスネイプは椅子に座った。目の前にいる女の課題なのにいつの間にか自分がしてしまっていることに気づいてしまったが、もう遅い。あとは豆を入れ、色が変わるまでかき混ぜて蜘蛛の毛を入れ濾したら完成だ。脳内で完成までの過程を再確認しているスネイプだったが、当の本人は机にへばりつくように突っ伏していた。
「おい、お前がしなきゃいけないだろ」
「わかってるよぉ、このあと左に3回かき混ぜるんでしょ?」
「右に5回だ」
「・・・」
「はぁ・・・」
「セブさぁ」
「・・・なんだ」
「口は悪いけど手は繊細だよね」
「・・・一言余計だ」
「教え方も上手いし、先生になったら?」
「僕が?なれるわけない」
「そうかなぁ、私セブが先生だったら真面目に授業聞くのにな」
「・・・・・・スラグホーン先生の話もちゃんと聞け」
「セブー?セブルス?」
「・・・・・・なんだ」
「珍しい、セブルスが居眠りなんて」
「少し目を閉じていただけだ」
「ふーん?」
「・・・」
「・・・わたしの顔にヌガーでも付いてる?」
「いや、お前は今も昔もガサツだなと思ってな」
「何それ思い出したように私を傷つけるの?」
「ふん、ローブの裾が汚れているぞ。大方ウィーズリーらへんとでも遊んだのだろう」
「え!あ、ほんとだ!」
今の僕があるのは昔の君の言葉があったからだ。そう思ってしまうことすら癪だと思った彼は、忘れるように羽ペンの先に黒いインクにつけた。
170404
[ back ]
ALICE+