The real reason is





「あ、セブルス。ちょうどいいところに」
「・・・なんだ」


外は大雨。鬱陶しいくらいの湿度に誰もが苛々していた。
そしてこのコウモリ男も同様。足首まで隠れるローブが濡れるのも気にせず時折水たまりを踏む音を立てながら歩いていた。


「この間セブルスが言ってた薬草なんだけど注文して取り寄せたからここにサインだけもらっていい?」
「あの薬草よく見つけれたな」
「頼んだいてその台詞?そりゃ結構探したんだからね」
「結構」
「ありがとうの一つくらいくれたっていいんじゃない?」


秘書兼お手伝いの吽は丸めていた羊皮紙を開いた。
色んな学校との連絡などをする彼女はコネクションが広い。そのためスネイプはなかなか入手できない薬草を他の学校から譲り受けれないか交渉を頼んでいた。


「礼を言う」
「その礼を言いなさいよ・・・はぁ、明後日の夜にボーバトンから荷物届くから、持っていくのは薬品庫でいい?」
「いや、一回中身を確認したい。私の部屋に送ってくれ」
「オーケー、セブルスの部屋に送るわ・・・何その顔」
「真面目に仕事ができるのだなと思いましてね」
「もうセブルスの頼みなんか一生聞いてやらない」


拗ねた顔でサインと書類を確認する彼女にスネイプは小さな笑みが零れた。濡れて重くなったローブはもう気にならなくなっていた。


「ずっと疑問に思ってたんだが」
「なに?」
「何でホグワーツに残ったんだ」
「・・・何、突然」
「卒業したら日本に帰るって話をしていたのを思い出したものでね」
「よくもまぁ覚えてるねー、それまだ4年生くらいの時でしょ?でも、うーん、何でってそりゃ、ね?」
「何だ」
「・・・セブルスが残るって言ったから」
「は」
「なんてね、ホグワーツが好きだからだよ。最初はホームシックで日本に帰りたかったけど、ずっとここにいたら居心地良いし楽しいし。でも教師の枠はなかったからダンブルドアに頼み込んで秘書枠を作ってもらったってわけ」


それじゃ、と一言言い残し、吽はローブを翻してその場から去ってしまった。
頭の回転は速いセブルスであったが、まくし立てて言われた言葉の処理が出来ず彼には珍しく、その場で立ち止まったままであった。雨はさらに強くなる。ローブがどんどん雨水を吸い込んでいってるのがわかった。




『ホグワーツで、かのう』
『はい、ホグワーツで働きたいです』
『うーん、ホグワーツに残ってもらえるのは嬉しいことじゃが、なにより教授の席は空いてなくての』
『雑用でも、お手伝いでもなんでもいいので!』
『・・・お主はなぜそこまでホグワーツにこだわる?』
『それは・・・』
『セブルス・スネイプか?』
『!何故・・・』
『わかっておる。お前さんは彼に大きな影響を及ぼした。とても良い方向にな。まぁ多少の私情は目を閉じておくとして』
『すみません、』
『よい、よい。見守りたい気持ちもよく分かる。そうじゃのう・・・秘書なんてどうかね?』
『秘書?』
『うむ、ワシの手伝いや他の先生方のお手伝いみたいな感じじゃ。先生方も大変みたいだからの』
『是非!』
『お主は日本人という我々とは違う考えを持っとる。これからもその考えで良い影響を及ぼしてほしい』
『はい!ありがとうございます!』



「なーんて、言えるわけないよね」


160702

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