侵入者
執務室。
そこは 本丸の主である審神者が、近侍や書類作成の得意な刀剣男士と共に仕事を行う場所。
そこで審神者は、1人の刀剣男士からの報告を聞いていた。
「 ───侵入者? 」
「 ああ。」
報告をしに来た刀剣男士・和泉守兼定の言葉を聞くなり、審神者は 訝しげな顔を向ける。休日にも関わらず戦闘着を纏っているのは、その侵入者の対応をしていたからだろう。修行に行くようになってから結ぶようになった長い髪を揺らしながら、和泉守はこくりと頷く。
「 ちょっと待て。侵入者だと?それはおかしい。警報は鳴っていないぞ。」
彼からの報告を聞いて、待ったを掛けたのは へし切長谷部である。彼の言葉を聞いて、同じように聞いていた山姥切国広と山姥切長義も、眉間に皺を寄せて訝しげな顔を向ける。
この本丸…というか、どの本丸にもそうだが、警備システムが組み込まれている。本丸は審神者を守る砦。刀剣男士にとって審神者は唯一無二の存在。審神者が居なくなれば刀剣男士は実体を保つことが出来なくなる。故にその審神者がいる本丸には侵入者を拒む結界や、無理やり入り込めば警報が鳴るようになっている。
「 警備システムに不備があるのかも知れないな。主どうだ? 」
「 ………特に問題ないわ。因みに侵入者は1人?」
もしかしたらシステムに何かしらの不備があるのかもしれないと山姥切は システムに異常はないかと調べている審神者に話しかけるものの、審神者は特に異常は無かったようで、首を左右に振る。
システムに異常はないにしろ、侵入者は1人くらいだろうと思っていた審神者はそう問いかけると、和泉守は 言いにくそうに頭を抱える。
「 ……7人だ。」
「「「 ………。」」」
「 そ、それは……多すぎるな。」
1人や2人ではなく、まさかの7人。あまりの数の多さに、誰もが言葉を失う。ようやく口を開いた長義も、顔を引き攣らせている。
「 6人は男。1人は女だ。とりあえず縄で縛り、部屋に閉じ込めている。見張りに国広や加州達に任せている。」
「 ………ひとまず侵入者に会う必要があるわね」
「 主っ!? 」
ゆっくりと立ち上がり、侵入者に会うと言い出した審神者に、長谷部は 危険です!と叫ぶ。いくら縄で縛り付けているとはいえ、この本丸に侵入してきた相手。しかも警報も起動しなかった程の相手だ。何が起こるか分からない。
「 危険なのは100も承知。だけど皆がいるのならば問題ないでしょう。兼定、部屋に集めてくれる?」
「 わかった。」
本丸の主として、危険なのは100も承知だが、侵入者に会う必要がある。と審神者は 和泉守にそう告げると、指示をされた彼は頭を下げると、襖を開けて部屋から出ていく。
「………主。」
「ええ、わかっている。この本丸の主として接するわ。」