つい先程までは外も部屋の中も鮮やかな夕焼け色に染まっていたというのに、気がつけば太陽がすっかり沈みきって辺りは暗くなっていた。
しんと静まり返った部屋でわたしの目の前に立つセキさんの眉間には、深いシワが刻まれている。更には目もじとりと伏せられていて、これはセキさんが何か考え事をしていたり不機嫌な時によくする表情だ。
ちなみに、今は確実に後者の不機嫌な時である。
なぜならば、わたしがセキさんの言いつけを破っているところをセキさん本人にバッチリ見つかったからだ。

「なまえは一人で集落の外に出るな」とセキさんに言い渡されたのはどれ位前のことだっただろう。
お遣いに行くはずのコトブキムラへ辿り着けず丸一日迷子になったり、足を踏み外して川に落ちて溺れたり、落とし物を拾おうとして沼にはまったり、大きなポケモンに追いかけ回されたりと、外に出れば何故だか怪我ばかりするわたしを心配したセキさんの苦渋の措置だった。運が悪いのか注意力の問題か、はたまた運動能力のせいか、とにかくわたしは人よりもトラブルに遭いやすいらしい。
外に出るなとは言わないから必ず誰かと一緒に行動しろ、とセキさんに言われたものの、毎回都合よく暇をしている人が見つかるわけもなく。少しだけなら、近くに行くだけなら大丈夫だろう、とわたしは何度か一人で出歩いて、その度に怪我をしてはセキさんに叱られていた。
今日にいたってはしびれ粉を浴びて動けなくなっていたところをセキさんに助けてもらい、申し訳ないやら恐ろしいやらで心臓が潰れてしまうかと思った。

そんなわけで、今日こそはセキさんに愛想を尽かされてしまうかもしれない。わたしはがくりと肩を落としたまま正座をして、セキさんの言葉を待っていた。すると、はぁーっという大きなため息が降ってくる。
恐る恐るセキさんを見上げると、セキさんは腕を組みながら床に正座するわたしをぎろりと見下ろしていた。

「なまえ、どうしてオレの言いつけを守らねえ」
「……ちょっとだけなら大丈夫かなって……その……思ったんですけど……すいません……」

セキさんの迫力に押されて語尾がごにょごにょと小さくなっていく。セキさんが大きな瞳でじいっとわたしのことを見つめるものだから、緊張のせいか恐怖のせいか、とにかく心臓が早鐘を打っていた。

「その『ちょっとだけ』で死にかけてるお前を助けに行ったのは今日で何回目だろうな」
「今日はその、死にかけてまでは……」
「あぁ?」
「ひえ……っ……ごめんなさい……」

怒気を含んだ声にしおしおと力なく謝れば、セキさんは「いいか」と話を続ける。

「何もオレは意地悪で言ってるわけじゃねえ。毎回毎回お前が怪我したり死にかけたりしてるから言ってんだよ。惚れた女に傷が増えて喜ぶ奴なんざ居ねえだろ」
「……ほれたおんな」
「何だよ、お前だろ。オレが惚れてんのはなまえ以外居ねえよ」
「えへ、えへへへ……」

思わぬところで聞けたうれしい言葉に、叱られている最中であることも忘れて顔をにやけさせてしまう。照れながらもえへえへと顔を緩ませていると、セキさんはむにりとわたしのほっぺたを摘んだ。

「セキひゃん、いひゃい」
「うるせえ。とにかく、今度こそ一人で集落の外に出ない、そう約束できるな?」
「ひゃい」
「よし」

わたしのほっぺたから手を離したセキさんは、にかっと明るく笑った。ひりひりと痛むほっぺたを手でさすっていると、セキさんはわたしと目線を合わせるように目の前でしゃがんでみせる。
相変わらず近くで見てもものすごくかっこいい顔だ。色男だと自称しているのは伊達じゃない。

「とは言ってもだ、今までどれだけ言っても直らねえものがこれですぐ直るとは思えねえ。今日は今まで以上にしっかりその頭に叩き込んでやる」
「へ? あの、セキさん……? んむ」

お説教は終わりではなかったのか。がしりと後頭部を押さえ込まれるのと同時に、柔らかい唇が重ねられる。
舌がぬるりと入り込んでくる感覚に、思わず肩がびくりと震えてしまう。ちゅぷちゅぷと小さな水音をたてながら舌を擦り合わせられると、何かを期待し始めたお腹の奥が早くもきゅうっと疼いた。
わたしのものよりも大きな舌が、何もかもを食べ尽くすように口の中を蠢いている。視線を合わせたままのセキさんの目がスッと細められるのと同時に唾液が流し込まれて、わたしはそれを素直に飲み下した。
ぬるぬる、ちゅくちゅくと、気持ちよさで頭の中がとろけていく。正座していたはずのわたしの足はいつの間にか崩れ、その足の間にはセキさんの膝が入り込んでいた。

「ふ、あ……? あっ♡」
「……なまえ」

低い声で名前を呼ばれ、目の前のセキさんの表情に体がぞくりと震える。ふうふうと荒い呼吸の中再び唇を合わせると、セキさんはわたしを床の上へと押し倒した。
わたしの後頭部から頬へと移動した大きな手の指先が、耳の中を優しくくすぐっている。耳に触れられる刺激と、頭の中で響くいやらしい水音で体が余計に熱くなっていく。
息継ぎの暇も与えられず、何度も繰り返される深いキスはわたしの理性と思考をすっかり溶かしてしまった。セキさんの舌と自分の舌が絡まり合うのはもちろん、息が苦しいのすら気持ちよくて下着がすっかり濡れてしまっているのがわかる。

「っ♡ん、んう゛♡ぅあ♡」
「……なんだ、誘ってんのか?」

無意識にもじもじと足を擦り合わせると、間に入るセキさんの足に自らの太ももを擦り付ける形になってしまった。それをセキさんに指摘され、顔がかあっと熱くなる。
反射的にふるふると首を振って否定すれば、セキさんは濡れた唇を舐めながらニタリと笑った。

「ち、ちが……っ♡」
「違わねえだろ。こんな、下着どころか服まで濡らしといてよ」
「だって、それはセキさんが……っひあ♡♡」

濡れた下衣の上からつう、とおまんこをなぞられて腰が大きく跳ねる。布越しの弱い刺激だというのに、足は小さく震えて口からは甘ったるい声が出てしまう。
薄い空色のぴっちりとした下衣の中心は、きっと色が変わってしまっているだろう。それをセキさんに見られていると思うと恥ずかしくてたまらない気持ちになる。

「はいはい、オレのせいってな。それじゃあオレが責任持ってもっとよくしてやるから、続きはあっち行くぞ」

ここじゃ背中痛えだろ、と笑いながら、セキさんはわたしのことを軽々と抱きかかえた。あっち、とセキさんが足を進めたのは寝台の上だ。
ふかふかの寝台の上にわたしを下ろしたセキさんはさっさと羽織りを脱ぎ、わたしの着物や下着も次々に剥ぎ取っていった。セキさんはあっという間に裸にしたわたしの体を座る自分にもたれかけさせ、後ろから優しく抱きしめる。お腹のあたりを撫で回していたごつごつとした大きな手が、するすると胸元に滑っていく様から目が離せなかった。

「っ、ふあ……♡あっ♡んんっ♡」
「やわらけえな。……今日もこの柔肌に傷が増えてたかもしれねえと思うとぞっとするぜ」
「ご、ごめんなさ……ひっ♡ぅあ♡」

むにむにとわたしの胸を揉んでいたセキさんは、わたしが謝ったのを聞くと「まったくだな」と乳首をぴんと弾いた。
それをきっかけに両手でそれぞれ乳首をぐにぐにと押し潰し、わたしの耳へ舌を這わせる。びりびりとした快感は下腹部へ溜まっていくかのようで、子宮がきゅうきゅうと疼いてしまう。

「あっ♡あ♡ちくび、やだあっ♡」
「ヤダじゃねえよ。こうやってなまえの体と頭に教え込んでやってんだよ。『リーダーの言いつけを守れ』ってな」
「ひぅ♡んん♡んあ♡」

指先を乳首の先っぽをほじるように動かしながら、セキさんは耳元で話し続けた。まるで鼓膜を直接揺らされているようで頭の中がふわふわする。

「ほら、オレの言いつけ言ってみな。ちゃんと覚えてるだろ?」
「覚えて、ますっ♡いいつけは、あ゛っ♡♡」

言いつけは、と言いかけたその瞬間、クリトリスをぐっと指で圧迫され、わたしは背中をのけぞらせた。まるで電流が走ったみたいな快感に、太ももががくがくと震えてしまう。
セキさんはわざとらしくかぷかぷと耳を噛み、わたしに問いかけながら指の腹でぬちぬちとクリトリスを擦り続ける。背後のセキさんの表情はわからないが、声はひどく楽しそうだ。

「どうした、忘れちまったか?」
「わ、わすれてな……あっ♡やめ……っ♡それ、すぐイっちゃ、〜〜〜〜っ♡♡」

小さな突起を器用に指で挟み、それをそのまましこしこと上下に小刻みに扱かれる。ぬるぬるの愛液を塗りつけるようなその動きは、わたしを絶頂させるには十分過ぎるものだった。
すぐに全身がとてつもない快感に支配されてびくびくと痙攣する。おまんこは入口を震えさせながら、はしたなく愛液をだらだらと溢れさせていた。
ゆっくりと全身が脱力して、わたしの体はセキさんの硬い体にくたりともたれかかる。そのままふうふうと呼吸を整えていると、再びぐちゅりとクリトリスが押しつぶされた。

「ひぐっ♡せきひゃん♡いま、いまイったばっかり……っ♡」
「あぁ、知ってる。ちゃんと見てたぜ」
「っ♡ぅあ♡も、やらあ♡」

絶頂の余韻に沈んでいた思考が、またすぐに与えられる快感により無理矢理引っ張り上げられる。筋張った片腕で足を閉じられないように押さえられながら、ぱんぱんに勃起したクリトリスを扱かれ続けるのだ。再び襲ってくる絶頂感に震えながら、わたしはぐずぐずと泣き声めいた声をあげた。

「あ゛♡あっ♡またきちゃ……っ♡きもちいのくるっ♡♡」
「こら、腰引いて逃げんじゃねえよ」
「ごめ、ごめんなひゃいっ♡またイぐ♡らめぇ♡イっ……♡♡」

ぷしゅ、と潮が噴き出す感覚とともにおまんこがどくどく痙攣する。ぐわんと脳みそがかき混ぜられるような快感に、わたしは首をのけぞらせた。
するとチカチカと星が瞬く視界に興奮した顔のセキさんが写り、わたしはずくんと子宮が疼くのを感じた。連続して与えられるすさまじい快感を恐ろしく思っていたはずなのに、どうして。

「っはぁ♡あ……♡んぅ♡」
「あーあー、物欲しそうな顔だな」

セキさんはゆっくりと頬を撫で、そのまま指をわたしの口の中へと押し込んだ。骨張った指で舌を押されるのが気持ちいい。促されるままに指に舌を這わせていると、ぐり、と硬いものを体に押し付けられる。熱くて硬いそれは、わたしが今欲しくてたまらないものだった。

「なまえ、オレの言いつけちゃんと守れるな?」

セキさんはぐりぐりとわたしの体にそれを押し付けながら、もう一度問いかける。まるで「ちゃんと守れるなら挿れてやる」と言われているかのようで、わたしはこくこくと何度も頷いた。

「ま、まもれまひゅ……っ♡」
「よしよし、いい子だ」

それじゃあよ、とわたしを寝台の上に寝かせたセキさんはまだ着ていた服と下着を脱いで、わたしの上に覆い被さる。筋肉質な体とガチガチに勃起したおちんちんが目に入り、わたしはひゅっと息を飲んだ。

「説教の時間は終わりだ。今からは二人で愛し合う時間、だな」
「……っ♡」

セキさんはおちんちんの先っぽをくちゅくちゅとおまんこに擦り付けながら、わたしの唇に噛みついた。舌を押し込まれ、歯列や上顎を舐められる。激しい口付けとは裏腹におまんこへの刺激はまるで焦らされているようで、腰が勝手にへこへこ揺れてしまう。はやく、はやくおまんこに挿れてほしい。

「ん♡んう゛♡ん〜っ♡」
「っは、どうした? もう待てねえってか」

混ざり合った唾液が糸引く舌をべろりと出して笑いながら、セキさんはわたしのことを見下ろした。興奮しているせいか、セキさんの頬は赤く目付きも鋭い。ものすごく、いやらしい顔をしている。

「いっつもなまえはオレの事をせっかちだなんだって言うけどよ、なまえこそ堪え性が無いんじゃねえか?」
「っ、あ♡ごめんなさ、いっ♡♡」
「ったく、仕方ねえなあ」

仕方ない、と言いながらもセキさんの口元は弧を描いている。わたしの両足を大きく開かせて寝台へと押し付けたセキさんは、どろどろになっている入り口におちんちんをぴとりと押し当てた。ぐちゅりと重たい水音が、やけに大きく聞こえる。

「っあ゛♡あ〜っ♡♡」
「あー……狭……っ」

おちんちんがおまんこの中にゆっくりと押し込められていく感覚に全身がこわばる。膣内がセキさんの形に広げられていくのが、気持ちよくてたまらない。
待ち望んでいたセキさんのおちんちんを根本までずっぽりと飲み込んだおまんこは、情けないことに挿れられただけで軽くイってしまっていた。

「ひっ♡ひぐ♡ぅあ゛♡」
「なまえ、舌出せ」
「ふぁい……♡ん♡ん゛ぅう♡」

言われるがままに舌を出せば、すぐにセキさんの舌が絡みついてくる。にゅるにゅると舌を絡ませながら腰を打ちつけられると、もう何も考えられなくなってしまう。おまんこはずっとびくびくと痙攣を繰り返していて、気持ちいいのがちっとも収まっていかないのだ。

「んっ♡んん゛♡んむ゛ぅ♡」

最初は小さく抜き差しを繰り返していたはずのセキさんの腰の動きが、だんだんと激しく無遠慮なものへとなっていく。息がうまくできない。苦しくて気持ちよくて、このまま死んでしまうのではないかと脳が警鐘を鳴らしている。
なんとか舌を引っ込め、唇を離して息継ぎをすると、セキさんは眉間に皺を寄せながらわたしの唇から溢れた唾液を舐め取った。
そうして上体を起こしたセキさんはわたしの片足だけを抱え込み、更に深くおちんちんを挿入する。ふーっ、ふーっ、と荒いセキさんの呼吸が、今からされるであろう事への期待と恐怖を煽った。

「やあ゛♡せき、せきさ……っ♡これ、ちょっとまって、くださ……っ♡」
「待たねえ」
「ひっ♡らめ♡らめえっ♡」

ばちゅっ♡ばちゅんっ♡とものすごい音を立てながらお腹側の気持ちいいところをごりごりと擦られる。わたしの弱いところばかりをいじめるような動きに、セキさんに抱えられている足の震えが止まらない。
更にはおまんこからはぷしゅぷしゅと潮が噴き出して、セキさんの体を濡らしてしまっている。しかしセキさんはそれを気にも留めず、腰を激しく打ちつけ続けた。
まるでおもらしをしているみたいで恥ずかしくてたまらないのに、自分の意思では止めることが出来ない。セキさんにおまんこを突かれるのに合わせて噴き出るそれは、今や布団をぐっしょりと濡らしてしまっていた。恥ずかしいやら気持ちいいやらで、わたしの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。

「やらあっ♡とま、とまらないよぉ゛っ♡ごめ、なさい♡あ゛♡あっ♡も、やあっ♡♡」
「あ゛〜……クソ、あんまりかわいい顔するんじゃねえよ」
「ひっ♡♡やっ♡それ、イっちゃ、あ゛♡あ゛〜っ♡♡」

セキさんの指でぐうっとクリトリスを圧迫され、バチバチと頭の中で火花が散る。深い絶頂の快感につま先がピンと伸びて、全身からじわりと汗が噴き出した。
膣内はどっくん♡どっくん♡と大きく痙攣を繰り返して、セキさんのおちんちんを締め付けている。それにすら感じてしまうのだから本当にわたしの体はどうしようもない。
このまま意識を手放してしまおうかと朦朧としていると、ふいにぐりぐりとおちんちんを奥へ押し付けられる。子宮を押し潰される感覚に震えながらセキさんを見ると、セキさんは汗に濡れた額をうっとおしそうに手で拭いながら獣の様にギラついた瞳でこちらを見下ろしていた。セキさんの目尻の藍色が、汗のせいで滲んでかすれている。

「一人で先に寝ちまうつもりか? つれねえな、なまえ」
「ゔあ゛♡あっ♡んんっ♡」
「オレももうイくからよ、もうちょっとだけ付き合ってくれや」
「……っあ゛♡〜〜〜〜っ♡♡♡」

セキさんの言葉になにか返事をしなければ、と開いた口から出たのは、悲鳴の様な喘ぎ声だった。セキさんとの行為によってすっかり性感帯になってしまった子宮口が、硬く膨らんだ亀頭にどちゅどちゅと潰されている。もう何度目かもわからない深い絶頂がまたすぐそこまできているのを感じて、わたしは布団を握りしめた。
それを見たセキさんはわたしの足を下ろして体勢を変え、空いた手でわたしの指を絡め取る。がっちりと指を絡めて手を繋ぎ、その手をそのまま布団へ縫い付けた。熱くて大きな手の感触に、胸がきゅうっとする。

「こっち握ってろ」
「せき、さんっ♡せきさんすきっ♡すきぃっ♡♡」
「あぁ、オレも愛してるぜ」
「あ゛っ♡あっ♡イぐ♡イきまひゅ♡♡」
「……っは、一緒に、な」
「んん♡ん゛♡ん〜っ♡♡♡」

ぐっとおちんちんを奥に押し付けられるのと同時に、セキさんはわたしの唇に噛みついた。深い深い快感に、わけもわからず縋るようにセキさんの手を握る。セキさんは絶頂して痙攣するおまんこの中で、どくどくと精液を吐き出しながらわたしの手をぎゅっと握り返した。

「っあ゛〜……すげえ出た……」
「ん、ふあ……♡あ……♡」

射精を終えてぶるりと腰を震わせたセキさんは、唇を離すと今度はわたしの鼻の頭に触れるだけのキスをする。多幸感で意識がふわふわして、全身に力がうまく入らない。
セキさんはずるりとおちんちんを引き抜くと、汗ばんだ体でわたしのことをぎゅうっと抱き締めた。二人の肌が合わさると、じとりと濡れた感触がする。

「はは、布団もオレたちもひでえ有様だな。なまえ、風呂行けるか?」
「た、立てまひぇん……」

わたしは未だひいひいと肩で息をしており、足もがくがく震えているというのに、セキさんときたらもうけろりとしている。やっぱりわたしは体力が無いのだろうか。いや、セキさんがあり過ぎるだけな気もする。

「よし、そんじゃオレが抱えて行くか」
「うひゃあ!?」

セキさんはわたしを抱きかかえると、ずんずんと風呂場へと向かって行った。たしかにわたしたちの体も布団も汗やら様々な体液やらでぐしょぐしょだ。布団は予備のものを使えばいいが、この体は早くなんとかしなくてはいけない。
そういえば石鹸がもう少なくなっていたし、この間セキさんがイチョウ商会の人から買っていた新しい石鹸、使ってみたいなぁ。なんでもミツハニーの蜜を使っているとか。
わたしがそんな能天気なことを考えていると、ふいにセキさんから名前を呼ばれる。

「なまえ」
「はい?」
「次オレの言いつけを破ったら尻引っ叩くからな」
「ひ、ひえ……」

次なんてものがあったらその時は、お尻を叩かれるだけでは無くとてつもない目に遭わされるだろう。
そんな日は絶対に来ないようにしよう、と腕の中で震えるわたしをよそに、セキさんは「この間買った新しい石鹸どこだっけか」と笑っていた。