「わたくし、貴女達が愛し合うところが見たいわ」

あたたかな日差しの差し込むユカリさまの自室の中、わたしの淹れた紅茶を飲んでいたユカリさまがニコニコと笑いながらそう言った。
ユカリさまのお世話係として仕えて早数年、ユカリさまの滅茶苦茶な言動に慣れたつもりでいたけれど、流石に今回ばかりはわたしもぴしりと固まってしまった。
ハルジオはどんな反応をしているだろう、とユカリさまの側に立つ彼女を見る。するとハルジオは眉間にシワを寄せ、うんざりした様子で片手で顔を覆っていた。

「あの、えっと、ユカリさま?」
「なあに? なまえ」
「愛し合うところ、と言われましてもハルジオとわたしはそういった関係ではないので……」
「あら、でも仲は良いでしょう? それにハルジオもなまえも、特別な相手は居ないはずよ。何か問題があるかしら?」

鈴の転がるような可憐な声でユカリさまはくすくすと笑う。
そして「二人だって手持ちのポケモン達が仲睦まじくしているのを見るのは好きでしょう? それと同じことよ。かわいいわたくしのハルジオとなまえを愛でたいの」と言葉を続けた。

「ねえ、ハルジオ」

優雅な動作でティーカップをソーサーに置くユカリさまが、ハルジオの方へと顔を向ける。「貴女はどう思う?」とにこやかに問い掛ける声が普段と変わらないのがかえって恐ろしかった。このままユカリさまの機嫌を損ねれば、ひどいことになるのは火を見るよりも明らかだ。
ユカリさまの言葉にぎくりと体をこわばらせたハルジオは、ぱっと明るい笑顔を作り「もちろん問題ありません」と慌てて答えた。
そんな、とわたしがハルジオの顔を見つめると、彼女は笑顔を貼り付けたままわたしの側へと歩みを進める。
そしてコソコソと小さな声で「すぐ終わるから少しだけ我慢してろ」と早口に告げ、わたしの唇にちゅ、と優しくキスを落とした。

「あ、え……? んう」

一度離れていったハルジオの唇が、再び角度を変えてわたしの唇に重ねられる。
こんらんするわたしの口内に熱い舌がぬるりと入り込んで来て、わたしは思わずびくりと体を跳ねさせた。
ハルジオの手がわたしの頭を押さえ、いたずらに耳をくすぐった。生き物みたいな舌がわたしの舌に絡まって、ちゅくちゅくと唾液の混ざり合う音が頭の中で響いている。
歯列をなぞられ、上顎がくすぐられ、唾液が口内に流し込まれる。それを飲み下すと頭の中がじいんと痺れるようだった。
あまりの気持ちよさに力が抜けて、今すぐにでも床にへたり込んでしまいそうだ。こんなにえっちなキスをされるなんて、聞いてない。

「ん♡んあ……♡」
「っはぁ……」

そのままどれくらいキスをしていたのか、やっと唇が解放された時には情けないことにわたしの下着はぐしょぐしょに濡れてしまっていた。頭がぼうっとして、思考がまとまらない。
正面に立つハルジオを見ると、綺麗に塗られていたはずのリップがわたしの唾液でぐちゃぐちゃになっていた。それがひどく扇情的で、お腹の奥がきゅうっとしてしまう。

「まあ、かわいい顔♡ほら見てハルジオ、貴女のせいでなまえはすっかりその気になってしまったみたい。最後までしてあげなくてはね?」
「ユ、ユカリさま、それは……」
「なまえ、自分でハルジオにお願いしてごらんなさい? このままなんてつらいでしょう?」
「あ……ハルジオ……♡」
「なまえ……」

ユカリさまに促されるまま、ハルジオの名前を呼んでその手を握る。すると、ハルジオがごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。
楽しそうに微笑むユカリさまは、わたしたち二人の様子を眺めながら椅子に腰掛ける。あたたかな日差しに照らされるユカリさまは、天使のように美しかった。その天使のようなユカリさまの前で、わたしたちは今からどんな醜態を晒すことになるのだろう。そう考えると、不思議とまたお腹の奥がじくりとうずいた。
わたしの手を握り返すハルジオの手には、痛いくらいに力が込められている。